対面
(ここどこ……)
息吹は横になったまま目を開けた。起き上がって周りを見渡したが、霧が濃く、まるで雲の中にいる様だった。
(寒い……)
息吹は少し身震いをして立ち上がった。どうしてここに居るのか頭がぼんやりして思い出せない。
しばらく、何も考えずフラフラ歩いて行くと、なんだか自分が誰かに見られているような気がして振り向いた。だが、相変わらず霧は濃く、さっきまで感じた気配は何処にもない。
(気持ち悪い……)
段々怖くなって、早足になった。やはり誰かに見張られている。
(怖い)
息吹はもう恐怖で振り向く事は出来なかった。早足だった足は、いつの間にやら駆け出しており、今は息が切れるくらい全力で走っている。
(コワイ、コワイ、コワイ)
こんなに走っているのに気配は一向に消えない。それどころか先程より背後に近くに感じる。
(追いつかれる!)
背後に近づく存在に、息吹は怖すぎて目を瞑って走った。
"あれえ、この子目をつぶって走ってるよ"
急に頭の上から声が降って来た。だけど、まだ目を瞑ったまま全力で走っている。もう自分でもどうしたらいいのか分からない。クスクス笑い声が聞こえる。
"なあ、さっき目え開いてたとき、こいつの目青くなかった?"
"まじ?!もしかして異国の子供?"
"だけどさ、こいつの見た目なんだか叔母さん思い出さねえ?あの鈍臭くて、暗めな人"
"あっ俺も思ってた!もっと太ってて、色黒かったけど 、目鼻立ちとかなんとなく似てる気がする"
頭上で知らない声が、ワイワイ騒いでいる。息吹は段々疲れて来て足取りが遅くなってきた。
"なあ、聞いてみようよ!"
息吹の身体は急に動かなくなり、そのまま地べたにつんのめって、顔から転けた。遂に目を開けてしまった先には、四人の青年がこちらを興味津々で覗いている。
"こんちは。身の程知らず君 ♪"




