47/139
どうしよう
「……なんだと」
息吹はしまったと思った。尊治の目はつり上がり、息吹は取り消す事は不可能だと悟った。だが、その後の言葉は出てこず、石のように固まってしまった。
「おまえは紫勇がどんなものか知っているのか」
息吹は尚も固まったままであった。尊治は息吹相手に怒ってもしょうがないと分かっていたが、あまりに馬鹿な事を言うので、苛立ちながら、冷静を装って言葉を絞り出した。
「紫勇は俺がつくった暗殺部隊だ。皆、一族の生き残りで、今は名を捨て、普段は普通に暮らしている」
息吹は、暗殺部隊の意味は分からなかったが、宝珠から逃げた結果、こちらも不味そうな状況になる事を理解した。だが、結局どうしたらいいか分からず、固まるしかできなかった。
「お前を匿ったのは、利用する為だ。お前も気づいていただろうが」
尊治はおだんだん落ち着きを取り戻し、これ以上話しても無駄だなと呟くと、階段を上り始めた。
(どうしよう、どうしよう)
能天気な息吹にも、逃げ出せない状況である事に気づかざるえなかった。息吹は尊治の後を付いて行きながら、頭の中で同じ言葉を繰り返すのであった。




