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青_____《大人と子ども》①

ストーリーカラー(青) 学生×大人 恋愛


________


5月。私はまだ1人で立つことに苦戦している。


「 紗世ー、そんな落ち込むことないって。笹川さんが上手くフォローしてくれたんだし、新入社員のうちに失敗を覚えた方がいいと私は思ってるよ」


「…でもー、木下は、同期なのに1人で出来てますよ」


「それは木下が凄すぎるだけ。私だって 新入社員の今の時期にあんなに出来たことないよ」


「でも 私みたいにやらかしたことも、」


「……ない。」


社員食堂のテーブルに顔を突っ伏し重い空気を纏う私と、そんな私の肩にポンと手を乗せて励ましつつ隣の席に座った2年先輩の金森さん。金森さんのせっかくの励ましの言葉にも言い返してさらにショックを受けたのは自業自得としか言いようがない。


そもそも任された文書をただコピーするだけで良かったのだが、カラーコピーするべきものを全部白黒でコピーしてしまったのだ。200部も。

200部という枚数をコピーし終えて達成感に満たされる私とは対照的に、提出した時の部長がぎこちない笑顔を浮かべていたのを客観的に考えると、とても恥ずかしい。


そしてそれを同期の中での1番エリート君"木下慎也"に見られていたことが 第2のショックだった。


「…転職したい、」


「早いわ!」


この日の昼休憩は、大好物のチキン南蛮を食べられずにずっと突っ伏していた。





________…




5時に仕事を終え、肩を落とした私が自宅に着いたのは6時頃。ブルーな気持ちが紛れることはなくため息ばかりをつき、コンビニで缶ビールと唐揚げを買って帰った。


帰宅してすぐ自室に入り、ベッドにダイブしては部屋の窓から見える夕暮れを見ていた。 帰って早々自室に入る私に、台所にいる母が何か言っているのが微かに聞こえたが何も答えなかった。


(…明日が土曜日で良かったなー。今日の後にまた何かやらかさないか怖いし、忘れっぽい所があるから重要なこと落としてないか不安になるしそれ以外にも…。)


でも1番は


「 醜態晒した気がして、木下と顔合わせられない…。」


同じ会社に就職した同期の木下慎也。

実は中学高校と同じ出身の同級生なのである。パッチリとした目に幼い顔立ち、それとは対照的にスラリと伸びた手足にさわやかスマイル。

人と分け隔てなく接する内面の良さもあるが、まずルックスの良さが影響して同級生の中だけではなく、学校内でも有名人物だった。


中学時代はそんな木下に微かに想いを寄せていたが、高校生になり木下に彼女が出来たことですんなり気持ちは冷めた。


(恋愛感情はないから何とでも思われても構わないはずなのに)


「格好付けなのかなーー」


自分のプライドの高さに気付かされた気がして、恥ずかしくなって枕に顔を埋めた。



___ピンポーン


(家で好きなテレビを見て気を紛らわしたいけど、外に出た方が気分転換になるかな。だとしたら1人でいるより誰かと一緒にいたいかな…しまちゃんは資格取るために忙しそうだし、まきは土曜に遠距離恋愛中の彼氏と会うらしいし。)


___ピンポーン


「どうしようかな」



「紗世ー、__ってまたあんた 着替えないで寝転んで!先に風呂に入りなさいって言ったでしょ」


ゴロンと私が寝返りを打ったところで、部屋の扉が勢いよく開き、母の怒鳴り声が響いた。


「待って待って待って いきなり入ってこないでよ。風呂は後から入るから!で、何? 何か要件があったんじゃないの?」


怒鳴り声に驚いて飛び起きた私が母親に言うと、母親は眉間に寄せていた皺を戻して、要件を思い出した と言わんばかりに声音が変わった。


(きょう)君が来てるわよ 」


「え 」



響。白田。高校2年生。

今年23歳になる私からすればフレッシュさ溢れる若者、さわやかで甘酸っぱい青春真っ只中だろうお年頃。


年齢だけ見ると接点は無さそうだが、私のこの実家と響の家がお向かい同士である為に幼い頃から交流があった。 主に私がお守り役兼家庭教師として。


響が小学生の頃は私が一緒に付き添って遊びに行ったり、中学生の頃は高校受験に向けて2科目だけ家庭教師として教えたりしていた。


幼馴染…というより、親戚の男の子って感じ。



《続》

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