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M・P・G ~私の庭に死角はない!~  作者: 皐月乃 彩月
一章 転生したようです。
3/29

3話 衣食住は無事解決!

 

「よしよし、初収穫~ぅ!」


このゲームでは、作物によって数十秒単位で種蒔きから収穫まで出来る。

ちょっとした時間にやる分には、最適のゲームなのだ。


「はぁ……お腹すいた。この際生でいいからこの人参食べたい……ピーマンでもいいし」


空腹が紛れるかと思い始めたゲームだが、寧ろ収穫した作物を見て益々空腹がつらくなった。


食べれないのに、ひたすら収穫するなんて……虚しい、虚しいよ、このゲーム。


「これから、どうするかな……父親に頼るのは論外だし、ギフトもこんなだしな……王都に行けば、ゲーセンみたいな感じでこのゲームでも多少金取れるかな……?」


道具的には異世界のものだし、物珍しさで暫くは食っていけそうだ。


「でも、このゲームじゃあ、なぁー。せめて、格ゲーとかなら需要ありそうだったのに……」


正直、勝ちも負けもないこのゲームでは、皆珍しさに惹かれた一見さんばかりになってしまうだろう。


「本当……どうしよ……」


私は日本でぬくぬくと生きていたのだ。

飢えに苦しんだり、困窮したりした事はなかった。

バイトだって、週に1、2度の緩いシフトだ。

そんな普通の大学生が、いきなり異世界でサバイバル生活とか無理ゲー過ぎる。


「食べ物、食べ物食べ物、食べ物ぉー……もう、雑草でも何でもいいから食べる……か? なんだ、この緑のボタン……初めて見る。アップロードか? 別に異世界でそこまで求めてないよ」


寧ろ食べ物だせよと、見慣れないボタンを見ながらにして思う。

もう終わりにしてあの雑草を引っこ抜きに行こうと、最後にそのボタンを押した。


「…………へ?」


押した瞬間、目映い光と共に私が先程ゲーム内で収穫した人参が目の前に現れた。


つん、と恐る恐る指でつつく。

触感は前世で触れた人参そのものだ。


「ま、まじで本物っ!?」


その瞬間理性がとんだ。

毒味やら何やらもしないで、生で人参にかぶり付く。


「ほ、本物だぁ、おいしぃ゛っ」


空腹は最大のスパイスとはよく言ったもので、私は無我夢中で口の中に放り込んだ。

クレイは死んで今の私になったけれど、記憶自体は記録として受け継いでいる。

最後に食べた雑草は苦くてゲロマズだった。

けれどこの人参は収穫時品質が最低ランクだった筈なのに、瑞々しい食感と仄かな甘みが最高に美味しかった。


「神様、ありがとう! 糞ギフトだと思ってたけど、めっちゃチートギフトだったよっ!!!」


このギフトがゲームのアイテムを全て実体化出来るなら、それはとてつもなく破格のギフトだろう。

このゲームは、生産出来るものの幅がかなり広い。

食べ物は勿論、服や装飾、お金を貯めれば家などの建築物も入手出来るし、生産をサポートする妖精なんかもいたりする。

そして、前世このゲームをやり込んでいた私のレベルはカンスト済み……ここまで来れば、笑うしかない。


「チート万歳っ!!」


これで異世界衣食住問題は全て解決だ!


私は先程まで空腹で泣きそうな顔を一転して、笑いながらふんぞり返った。

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