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M・P・G ~私の庭に死角はない!~  作者: 皐月乃 彩月
四章 G・G・K作戦、始動するようです。
17/29

17話 全く感動的ではない再会、とついでにショタ。

 

広大な敷地に綺麗な学舎。


優秀な学者や貴重な書物や高価な設備。


活気溢れる生徒達の笑い声。


流石は国一番の学園だ、素晴らしい。

素晴らしくはあるが……



そもそも私は学園に行きたくなかった。

なので、別に教師が優秀とか設備が揃ってるとか言われても別に大して嬉しくない。

前世では小学校から計16年間通っていたのだから、もう充分だ。

お腹一杯だ。


こんなに行きたくないと思っているのに。

私は今この学園指定の制服に身を包み、他の生徒と同じように授業を受けるはめに陥っている。

全てはあの王子様達のせいだ。

特にあのショタが悪い。


ゲーム(ギフト)だけやってればよかったあの日々が恋しい……」


「そう言うな。それに成績も上位だったし問題ないだろう」


私の独り言に返事をくれたのは、私をあの村から連れ出した王子様。


相変わらずのイケメンですね。

でも、イケメンでも許されない事ってあってよ?


そもそも行きたい行きたくないに、成績は大して関係ない。

一応大学まで出ているので、授業は余裕でついていけるが眠いしかったるい。

船をこぎはじめると、この王子様達は一々起こすので余計に辛かった。


「ツェルイルの家に養子入りさせた以上、彼等の面子を潰させるわけにはいかない。俺達だけの時は何も言わないのだから、我慢しろ」


そう言って王子様は、私の頭をぽすりと撫でた。


そう、私はこの学園に転入するに際し、なんと王子様の側近であるヴァイス・ツェルイルの家に養子入りしたのだ。

私はあの真面目騎士様の義妹になった。


確かに実家の家名を名乗りたくないとは言ったが、ここまでの事は頼んでいない。

普通に平民扱いでよかったのではなかろうか?

何だが嫌な予感しかしないが、怖くて王子様達に真意は聞けない。

知ってしまった瞬間に確定してしまう現在って……あるよね。


「はいはい、分かってますよー」


私は学園に入るにともなって、庭もとい村の引っ越しを行った。

元々いつ隠蔽が露見して、取り上げられたかもしれない村だ。

村事態に未練はない。

それは村人達も同様だったようで、皆私について王子様が用意した前より広い土地に引っ越した。

ある意味夜逃げともいえる。

現在村はもぬけの殻だ。


「はいは1回でいい……そう言えば、うちの商会でクレイの商品を流す準備が整ったぞ」


「本当ですかっ!?」


私は鼻息荒く、王子様に詰め寄る。

まともに商売をするには許可やらコネやらが必要らしく、私はよく分からないので王子様に丸投げしていた。

その手回しがついに完了したらしい。


お金、やっとガチなお金が手に入るっ!!


私の住む村は田舎過ぎて、物々交換が基本だった。

なので、私もギフトで売買してゲーム内通貨は手にしていたが、この国のお金は持っていなかったのだ。


かなり幅広いといっても、ギフトで手に入らないものもある。

本だったり、この世界特有の高級菓子だったり。

国の中心であるこの王都では、何をするにも金が必要なのだ。

私はお金が欲しい。


「あ、あぁ……売上の何%かは、うちに入れてもらう必要はあるがな」


王子様は私の食いつきように押されながらも何とか頷くと、本当にそれでいいのかと聞いた。

王子様は私のギフトはある種の国作りの能力だと言った。

私1人いれば、衣食住はなんとでもなる。

半ば強引に連れてきたわりに、こうやって何度も確認するのだから王子様は中々いい人だろう。

だからと言って、嫌だと言っているのに学校に通わせるのはどうかと思うが。

お前には一般常識が足りないし後々必要だと、無理矢理入学させられたのだ。


「構いませんっ、お金はこれから使いきれない程に稼ぐのでっ!」


王子様はそこんとこ誠実ではあるようなので、法外な上納金を取られる事はないだろう。

私も公平な扱いなら素直に払う。


「へー、クレイちゃん勇ましいじゃん、かぁっこいいっ! それじゃあ、殿下の為に、クレイちゃんはじゃんじゃん稼いじおうっ!!」


にぱっと、拳を掲げるショタ。 

私と王子様を見比べて、ニヤニヤしている。

嫌な感じだ。


「五月蝿いです。そう言った事は、私の背を抜かしてから仰って下さい」


お前(ショタ)の事はまだ許したわけじゃないからな。

王子様や義兄のヴァイスは私に対してわりと誠実だが、このショタは愉快犯、つまりは性格が悪い。

私は見た目に騙されたりしないのだ。


「ちょっと人が気にしてる事をっ! 僕はこれから成長期を迎えるんだからっ!!」


図星を突かれたショタは、顔を赤くして怒りをあらわにする。

そんなショタに私は何も言わずに、淑女のようにお上品に鼻で笑った。


ふっ、無理でしょ。

成長期に栄養が行き渡らずに周囲より一回り小さい私より更に小さいんだから。

それは無謀な目標である。


「おい、あまり喧嘩をするな……何故お前達は事あることに言い争いになるんだ」


いつものごとく言い争う私達を見て、王子様は呆れ顔だ。


「王子様、全てあのショタが悪いのです。私は全く悪くありません」


「何だよ、そのショタって。君がいつも人の気にしてる事を抉ってくるんだろっ!?」


「……お前達、仲が良いな」


揃って相手のせいにする私達に、王子様は少しムッとしながら心外な事を口にした。


いえ、どう見ても仲良くないですから。

ショタと私は水と油。

本能的に合わない間柄です。


私はそう反論しようとした。

そう反論しようとしたが──


「マリーベル・キューレ、お前のような女とはやっていけない。お前との婚約は破棄させてもらう」


日常では聞き慣れない単語が耳に入り、開いた口を閉じると騒ぎの中心に眼を向ける。

すると、そこには見目のいい同年代の少年達と気位の高そうな美少女、そして──


「うわ……まさかのタイミングでの再会だわ」


少年達に守られるようにして立っている、私の血縁上の妹がそこには居た。


章タイトルのG・G・Kは作戦名であり、ざまぁ?でもあります。

完結まであと少し、もうちょっとお付き合いくださいm(_ _)m

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