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「レアアイテムたちの受難

作者: クマ

声劇用台本です。

男性3名、女性1名が基本の比率ですが、演者さん方の判断で比率、口調を変えていただいても構いません。

著作権は作者に帰するので、商業利用はお控えください。

ニコニコ、ツイキャスなどでの公開配信に制限はありません。

質問がある方は@kuma_tweetcasのツイッターアカウントまで。

☆登場キャラクター

・聖剣デュランダル

→伝説の鍛冶師ゴーダンによって作られた、攻撃力125+の剣。闇属性の魔物への相性は抜群であり、前の勇者がいた時代では、魔王の片腕を切り飛ばした実績を持つ。名刀ゆえに意志をもち、他の武具や魔物と会話を交わすことができる。血気盛んな性格。


・聖鎧フィロミス

→伝説の甲冑師ウィルスミスによって作られた、防御力125+の鎧。闇属性の攻撃によるダメージを半減させる特殊効果を持つ。デュランダル同様意志をもち、気弱な性格である。しかし無類の女好きで、女性絡みでは性格が豹変する。


・ゴレム君

→デュランダルとフィロミスが入った宝箱を守る、人造ゴーレム。低音、のろまな口調で喋るが、性格は温和。しかしプログラム上、宝箱をねらう人間に容赦はできないので、「ごめんなぁ」と言いながら侵入者をぺちゃんこにする。


・低級魔族→やられ役。


・勇者→バカ


・魔法使い→美少女


・武闘家→美女


☆配役(基本は男性3名、女性1名)

♂ 聖剣デュランダル

♂ 聖鎧フィロミス

♂ ゴレム君 + 勇者(兼役)

♀ 低級魔族 + 魔法使い + 武闘家(兼役)


*演者さんの判断で、男女の配役や兼役の組み合わせを変えていただいて構いません。とにかく楽しく演じてください! 


-----------------------------------------------------------


デュランダル

「おい、フィロミス。起きてるか?」


フィロミス

「んっ……ふわぁーっ。どうしたの、デュランダル。君が話しかけてくるなんて……ええと……14285日ぶりじゃない?」


デュランダル

「知らねぇよ、細かい時間なんてよ。……それより、まだか」


フィロミス

「まだかって?」


デュランダル

「勇者が、俺らを見つけに来るのはまだかって言ってんだよ!!」


フィロミス

「うわっ、声大きいって。君、ただでさえオリハルコン製なんだから、声ぐわんぐわん響いてるんだよ?」


デュランダル

「うっせぇ!俺はなぁ……俺はなぁ!こんな薄暗いダンジョンの!ちっちぇえ宝箱の中に納まる器じゃねぇんだよ!」


フィロミス

「器じゃなくて、剣だもんね」


デュランダル

「そうだ!俺様は剣だ!」


フィロミス

「そだね、僕は鎧だよ」


デュランダル

「先代の勇者がいた頃……あのときは、最高だったぜぇ!ゴブリン族の大襲撃とか、四大ドラゴンの同時殲滅とかよぉ!」


フィロミス

「うんうん、サキュバス退治とかもあったよね」


デュランダル

「今まで倒してきた強敵たちが、ゾンビとなって一斉に復活したとき……あれほど、俺のオリハルコンがビンビンしたことはなかったぜ!」


フィロミス

「鞭使いのお姉さんに着てもらったときは、僕のオリハルコンもビンビンだったよ!」


デュランダル

「……おまえ、オリハルコン製じゃないよな?」


フィロミス

「……てへっ」


デュランダル

「いや、可愛くねぇよ。……まぁ、それはいい。おまえの性癖なんて、俺様はどうだっていいんだ!!問題は、なんでいつまでたっても勇者が来ないのかってことだよ!」


フィロミス

「うーん……でもさ、よくよく考えて見なよ、デュランダル」


デュランダル

「んだよ、フィロミス」


フィロミス

「ここってさ、魔王城の地下なんだよ?」


デュランダル

「……」


フィロミス

「……魔王の部屋はさ、最上階じゃん?ぶっちゃけ、勇者がわざわざ地下に来ることとかないよね」


デュランダル

「キィエエエエエエエエエエエエエエエッ」


フィロミス

「で、デュランダル!?ちょ、大丈夫!?」


デュランダル

「大丈夫なわけあるかぁ!それもこれも、全部先代勇者が悪いんじゃぁ!何なの、あいつ!前の魔王を退治し終わったら、俺らをポイ捨てしたよね!?しかも、捨てるなら捨てるで、ここおかしくない!?何が、『こういう見つからない場所にあると、レアアイテムっぽいじゃん?』だよ!」


フィロミス

「お、落ち着いてデュランダル!」


デュランダル

「おまけに、宝箱守るためのゴーレムまで置いていきやがって!あれで勇者が諦めたらどうしてくれんの!?マジで刀のサビにしてやんぞぉ!」


フィロミス

「もうとっくに壽命で死んでるから!落ち着いて!」


デュランダル

「っは……っ……ふぅ。悪いな、あらぶっちまった」


フィロミス

「いいよ。気持ちは十分にわかるからさ。……ほら、魔王城って言ってもさ!前の魔王が住んでたってだけだし、今の魔王がここに住んでるかは――」


デュランダル

「いや。50年前あたりから、上のほうが騒がしくなった。あれは魔王の再誕と見るのが妥当だ。ここは元々、瘴気のたまりやすい場所だからな」


フィロミス

「そっか……じゃあ、僕らは見つけてもらえたとしても、魔王討伐の後、かな」


デュランダル

「それも、厳しいんじゃねぇか?魔王を倒した後に、わざわざ地下まで宝探しに来るかよ。馬鹿な盗賊連中ならありえるだろうが、それはゴレム君が……って、うおおっ!」


フィロミス

「うわっ!じ、地震!?」


デュランダル

「いや、ゴレム君が起きた音だな。侵入者だ」


フィロミス

「え!?じゃあ、もしかして勇者が!?」


デュランダル

「ちげぇ。俺のオリハルコンにビンビンこねぇ、小物だ。……たぶん、魔王城の低級魔族が、間違って入って来たんだろうよ……ほれ」


低級魔族

「ぷげぇ……魔王様のお城にこんな部屋があったでぷげぇ……ぷ、ぷぷぷぷ、ぷげっ!?」


ゴレム君

「し、しんにゅうしゃ、は、はっけん。せ、せんめつ、する」


低級魔族

「な、ななな、なんだこれぇ!ぷげぇ!お、おっきい、ぷげええええええええええええええええっっ!」


ゴレム君

「ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい」


低級魔族

「ぷげげっ。ぷげげっ。ぷげげっ。ぷげええええええええええっ!!……ガクッ」


フィロミス

「……」


デュランダル

「なっ。ゴレム君の瞬殺だったぜ!」


フィロミス

「なんか、さすがに哀れだったけど。相変わらず、ゴレム君は強いね」


デュランダル

「あれで優しいやつなんだけどなぁ。おい、ゴレム君!仕事お疲れっ!」


ゴレム君

「う、ううう」


フィロミス

「う?」


ゴレム君

「う、うおおおおおおん、おんおん、うおおおおおおんっ(泣き声)」


フィロミス

「ゴレム君、泣かないで!?部屋が!部屋がみしみしいってる!」


デュランダル

「ふっ、泣き声だけで部屋を壊しかねないとは……ゴレム君。お前とは一度、戦ってみたいものだぜ」


フィロミス

「そんなこと言ってる場合!?」


ゴレム君

「うおおおおん、おん……お、おで、また魔族つぶしただ。酷いやつだぁ」


フィロミス

「そんなことないよ、ゴレム君。ゴレム君は、そういう風にプログラムされてるんだから、ゴレム君のせいじゃないって」


ゴレム君

「う、ううっ……おで、悪くない?」


フィロミス

「うんうん!悪くない!だから、泣かないで!ねっ?」


ゴレム君

「うっ……うおおおおおおおん、おんおんっ!フィロミスはやさしいだぁ!おで、感激で涙とまらないだぁ!」


フィロミス

「ちょおおおお、ちょおっ!?ゴレム君!?ねぇ、宝箱に抱き着かないでゴレム君!?ばきばきいってる!宝箱、ばきばきいってるからぁ!!」


デュランダル

「はっはっは。ゴレム君は、腕力だけなら全盛期の魔王とタメ張れるからなぁ。宝箱なんてひとひねりだ」


フィロミス

「僕ごとひとひねりされそうな勢いなんだけど!?冷静に分析してないで、止めてよ!」


デュランダル

「しゃあない、同じ聖武具のよしみで助けてやろう。ゴレム君、ゴレム君、俺様ぁ、君に聞きたいことがあるんだが」


ゴレム君

「うおおおおん……ぐすっ、でゅ、デュランダル。おでなんかに聞きたいことがあるのけ?」


フィロミス

「ああっ、ようやく解放されたぁ……」


デュランダル

「おうよ。確か先代の勇者が、ゴレム君には特殊な機能をつけていたはずなんだ。勇者の資格を持つものがこの世に現れたら、ゴレム君の胸の宝石が光るって聞いてたんだが……どうだ?」


ゴレム君

「ん……お、おでの胸、ひかってるだぁ!」


デュランダル

「マジか!来たぞ来たぞ来たぞ!久しぶりに起きた甲斐があった!もしかすると、勇者がすぐそこまで来てるかもしれん!なっ、ゴレム君」


フィロミス

「ねぇゴレム君!勇者は女なのかな!?美人かな!?それとも、鞭使いのムッチムチお姉さんとか、清楚系の魔法使い美少女とかもいるの!?ツンデレでも可!クーデレでも可!ヤンデレもたまらないっ!」


ゴレム君

「え、お、おで……おで……」


デュランダル

「やばいぜテンション上がって来た!サラマンダー、グリフォン、バジリスク……ぐふ、ぐふふふふ」


フィロミス

「おっぱい、おしり、女の子の汗……ふひひ、ふひひひひ」


ゴレム君

「おで、おでっ……うおおおおおおおおおおおおおん!」


フィロミス

「ちょ、え、ゴレム君!?」


ゴレム君

「おで、わがらないだぁ!勇者が近ぐにいるかも、女かもわがらないだぁ!おではっ、おではっ、やくたたずのゴレムだぁ!うおおおおおおおおん!」


デュランダル

「ゴレム君、落ち着け!……いやマジで落ち着けってば!ゴレム君の泣き声で魔王城崩壊とかしゃれにならねぇぞ!?俺様たち生き埋めだよ!」


フィロミス

「そうだよ!ゴレム君はよくやってくれてる!さっきだって、僕たちを守ってくれたわけだし!ゴレム君はヒーローだよ!」


デュランダル

「そうだヒーローだ!ゴレムヒーロー!」


フィロミス

「ヒーロー!!」


デュランダル

「ヒーロー!!」


ゴレム君

「うぐ……おで、こごにいてもいいのけ?」


デュランダル

「当たり前だぜ!ゴレム君は俺らの心の友だぜ!」


フィロミス

「(小声)さっき、先代勇者が余計なゴーレム置いていった、とか言ってたくせに」


デュランダル

「(小声)うるせぇ。(普通の声に戻る)……ま、まぁ、できることなら、勇者相手には手加減してくれると嬉しいけどな!」


ゴレム君

「おんおんっ!おで、がんばる!がんばって力抜く!」


フィロミス

「そうだよ、その意気だよ、ゴレム君!」


デュランダル

「さすがはゴレム君だぜ!あ、そうだ!勇者が来た時のために、部屋を花で飾り付けたりしとけばいいんじゃねぇの!?なんかほら、歓迎してるぜ風な!?」


フィロミス

「そうだね、デュランダル!ゴレム君に勝てばいいことありますよ~、みたいな雰囲気出さなきゃね!」


デュランダル

「おおっ、乗って来たじゃねぇか!ゴレム君、なんかそういう花とか咲いてねぇの?」


ゴレム君

「はな……はな……」


フィロミス

「この際どんな花でもいいからさ、石の隙間から生えてるやつとかでも……」


ゴレム君

「血の花、が咲いてるだ」


フィロミス

「……」


デュランダル

「……え?」


ゴレム君

「おで、侵入者、つぶす。でも、片付け、できないだ。だから」


デュランダル

「だから?」


ゴレム君

「部屋中、血の花が咲いてるだ」


デュランダム

「……」


フィロミス

「……それって……さ、僕らがここに閉じ込められてから、ぜーんぶの侵入者の死体が、残ってるってこと?」


ゴレム君

「んだんだ」


フィロミス

「……それ、やばくない?」


デュランダル

「……やべぇな。何百年も前から、死体が放置され続けてんだろ……?」


フィロミス

「……すっごいにおいがするだろうね」


デュランダル

「普通、近づけねぇよな……さっきの魔物、鼻きかなかったのかな?」


フィロミス

「か、かもね……普通の人間なら、近づけないよね。例えば……勇者、とか」


デュランダル

「……」


フィロミス

「……」


デュランダル

「おわったああああああああああああ!俺らの冒険ここで終わったぁぁぁぁ!!デュランダル先生の次回の冒険にご期待くださいいいいいいっっ!」


フィロミス

「い、いやだぁ!!宝箱の隙間から、臭いにおいがもれてきてるような気がする!!いやだぁ、助けてぇ!!臭くなったら、可愛い女の子に着てもらえないいいっ!」


ゴレム君

「んお?んお?……おで、悪い?おで、悪い子?」


デュランダル

「くっそおおおおおおおおおおお!」


フィロミス

「おっぱいいいいいいいいいいいい!」


ゴレム君

「う、うおおおおおおおおおんおんおんおん、うおおおおおんおんおんおんっ」


デュランダル

「くっそおおおおおおおお……って、おい!?おいおいおいおい!?冗談抜きで、天井壊れそうな音してないか!?」


フィロミス

「えっ!?ゴレム君の泣き声で!?」


デュランダル

「あ、もうこれ、ダメだ。この音、マジでダメなやつだわ」


フィロミス

「いや、デュランダル!?いつも元気な君が、何落ち込んでるの!?それガチなやつじゃん!ダメなやつじゃん!」


デュランダル

「フィロミス、ゴレム君。今までお前らと一緒にいられて……くっそつまんなかったぜ!」


フィロミス

「最後の言葉それぇぇぇぇっ!?」


ゴレム君

「うおおおんおんおんおん。うおおおおおおおおおんっ(一番大きく)」


フィロミス

「ゴレム君の泣き声を聞きながら、僕は魔王城ごと潰れることを覚悟した。あまりにもはかない終わり。触り足りない女体。むさくるしいゴーレムと聖剣に囲まれた終わり……あんまりな結末を嘆いた、その時だった」


勇者

「いっててっ。魔王のやつ、魔王城破壊して自分だけ逃げるとか、さっすが卑怯だよなぁ……って、なんだここ!くっせぇ!」


魔法使い

「大丈夫です、勇者さま!すぐに消臭魔法をかけておきましたから!」


勇者

「おっ、さすがは俺の魔法使いだぜ。後でご褒美のチューしてあげるからなぁ」


武闘家

「あー、ずるい!あたしもあたしも!」


勇者

「おう、順番にな……って、あれ?なんかでっかい……ゴーレム?みたいなのを下敷きにしちまってるけど……おっ、宝箱みっけ!どれどれぇ?」


フィロミス

「……この声……女の子の声!!デュランダル、起きるんだ!デュランダル!」


デュランダル

「んぐっ……フィロミス。俺ら、まだ無事で……」


フィロミス

「勇者だよ!勇者が来たんだ!」


デュランダル

「何!?」


勇者

「おおっ!やべぇ、レアアイテムっぽいじゃん!アイテム図鑑、っと……おおっ!聖剣デュランダルに聖鎧フィロミスだってさ!」


魔法使い

「やりましたね勇者さま!それを使って、逃げた魔王を退治しにいきましょう!」


勇者

「おう、そうだな!いっぱい活躍させてやるから、俺の力になってくれよな!デュランダル、フィロミスっ♪」


デュランダル

「勇者……勇者!勇者ああああああっ!貴様を待っていたぞぉ!俺様が、貴様の前に立ちふさがるものをすべて、切り伏せてやろうではないかぁ!ふはーーっはっはっはっはぁ!!」


フィロミス

「念願の……念願の美少女と美女!君たちの体は僕が誰にも、指一本触れさせないよ!君たちの体は、僕だけのものさぁ!ぐふっ、ぐふっ、ぐふふふふふふぅっ!」


デュランダル

「こうして俺たちは、念願だった勇者との出会いを果たした。俺たちはこれから、溜まっていた鬱憤を晴らすかのような活躍を……活躍を……」



勇者

「やっべぇ!聖剣エクスカリバーだ!勇者と言ったらこれだろ、エクスカリバー!マジかっけぇぇ!」


デュランダル

「……え?」


武闘家

「あたし、フィロミス着てると体が痛くなっちゃうんだよね。正直、ないほうが戦えるっていうか」


勇者

「オッケー。じゃ折角だし、おまえと魔法使いには可愛い服買ってやるよ!もちろん、露出度多めのやつな」


武闘家

「もー、勇者のえっちー」


魔法使い

「勇者さまったらぁ」


フィロミス

「……え?」


デュランダル・フィロミス

「えええええええええええぇぇぇぇぇぇぇ!?」


フィロミス

「僕らの受難は、まだまだ、終わりそうもない」


終わり


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