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宵闇の時間になると、夜担当の人と交代してギルドを出た。うーん、腹減ったな。今日は露店で何か食べようかな。辺りに漂う良い匂いにつられるように串肉5本と、パン1つ買った。
歩きながら食べていると、羨ましそうに見ている獣人の子供と目が合った。近くに親らしき者がおらず、みすぼらしい姿をしているのを見て、俺は口をつけてない串肉をソッとあげた。受け取った子供は嬉しそうにしながら走り去って行った。
その素早さに苦笑しながら、残っていた串肉を食べていると、またあの獣人の子供が俺の前に来て、手を差し出してきたから、残りものも全部あげた。
すると、ありがとうという小さな声が聞こえたと思ったら、また素早く姿を消していた。
さすが猫族。速い速い。
暗殺者の素質があるな。