本人を置き去りにして勘違いは広がる

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「なにしにきたの？」

不意に背後からムササビ族の無機質な声が聞こえて、振り返る。そこには今まで見たことのない表情のムササビ族が立っていた。冷たい無表情。きっとこれが彼女の暗殺者としての顔なんだろうと思った。

初めて見せる彼女の一面に、二の句が告げない。無言で立ち尽くす俺に、どうしたのという風に彼女は小首を傾げた。普通なら可愛いはずなのに、まるで言葉を間違えると、自分の命が無くなるような錯覚に陥った。はっきり言って、怖かった。