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本当はスラム街は長居してはいけない場所だが、鷹族が一緒なら絡まれることはない。しかし、遠巻きに誰かに見られている視線を無数に感じて居心地が悪くなった俺は、鷹族に場所を変えようと言った。
それなら、私の家に来るといいわという誘いがきたが断った。ムササビ族に悪いし、高ランクの鷹族の秘密を多くは知りたくなかった。
しかし、未だに片腕を拘束している鷹族は俺を離す気はなさそうだし、どうしようか悩む。唸っている俺に鷹族が、じゃあ私をあなたが泊まっている宿屋に連れて行ってと、俺を促した。俺が戸惑っていると、大丈夫、変なことしないからと鷹族が俺の耳元で囁いた。まったく安心できなかったから、酒場じゃダメかと言ったら、ダメよと腕に胸を押し付けられた。