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・・・来ない。
デカい成功報酬受け取ったあとだから、狼族はギルドには寄り付かないんだろう。その事に気付いた俺はガクリと肩を落とした。どうして依頼達成出来たのか聞きたかったが、それはまた別の機会になりそうだ。あるいは一生分からずじまいかもしれない。
まあ、いいか。
終わった依頼はどうでもいい・・・。うう、でも知りたかったな。しかし深追いはろくな事にならないと決まってる。これでいいんだ。依頼達成出来てるんだから。そう自分を納得させて、宿屋に帰ると、ベッドには1人分のふくらみがあった。
また狐族が入り込んでいるようだ。ヅカヅカと俺はベッドに近づくと、毛布を剥ぎ取った。そこにはやっぱり狐族がいた。いい加減に俺のベッドに入り込むな。尻尾を撫でるぞと脅せば、お尻を向けてきた。フサフサの尻尾が眼前にユラユラと揺れている。俺は触ってしまいそうな右手を左手で抑えた。獣人の尻尾は胸以上の扱いを受けている。だから配偶者以外触ってはいけない。耳は別だけど。
俺はなんとか狐族をベッドから追い出すことに成功すると、眠りについた。