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さすが暗殺者ギルドの職員だ。一目で毒ナイフだと見抜くとは。俺が尊敬の目でダークエルフを見つめていると、顔をしかめて、こっちを見るなと言われた。俺はすいませんと謝ると、休憩時間を切り上げて仕事に戻った。
仕事中、まだ陽が落ちてない午後に珍しくムササビ族の彼女が訪ねてきた。俺の窓口じゃなく、ダークエルフがいる窓口に行って何事か話している。小声で話しているから内容はここからでは聞こえない。
ただ、ダークエルフの顔色が悪くなっていくのがわかった。ムササビ族が満足気にこちらに顔を向けたあと、ダークエルフ は両手で顔を覆っていた。
もしかして泣かせた⁉︎
何事だよとムササビ族に言ったら、つぶらな瞳を細めて、なんでもないよと軽く言った。