6月26日
全ての主人公はかつて孤独だった。
今はどうだ?
孤独じゃない。
これでは半信半疑で次に進むことになる。
むしろそれを証明させるために あえて孤独にさせたんじゃないかって……。
すると溜らず 後ろを振り返ってしまう。
誓約書にサインできたのは 後悔させるためじゃない。
護ってあげられるから……そうだろ……?
優等の代償は孤独で 劣等の代償は同調である。
その境界線はないのか?
在るんであれば 歩けるんであれば 境界線上が自分のホームだ。
【???】
「覚悟は……いいな?」
・
・
・
目を瞑る。
視界は漆黒の闇が支配する。
さあ始めよう。
この状況下で、何を創るか考えよう。
そうして、動き出したんだ。
自分の物語もまた……。
【???】
「……前置きはさておき」
【???】
「……三竦とは 三つの主人公が それぞれ得意な相手と苦手な相手を1つずつ持ち 我慢できれば三者とも身動きを取らずに済む状態のことをいう」
【???】
「……”対”の時代は終わった。あたしはここに ”三竦” を提唱する」
明けの明星(新神代篇)
【新神代政府最高責任者】
「『……では手短に』」
【新神代政府最高責任者】
「『皆さんもご存じのとおり 私が推し進める資格完全使用禁止法案はまもなく可決される』」
【新神代政府最高責任者】
「『この法律には一定の猶予期間があり 段階的に制限していく』」
【新神代政府最高責任者】
「『……おわかりかな』」
【新神代政府最高責任者】
「『”新神代がよもや現代化するのではないか?” という懸念はこれからの対応で払拭すればいい』」
【新神代政府最高責任者】
「『さもないと操り神形のように虐げられる』」
【新神代政府最高責任者】
「『………』」
【新神代政府最高責任者】
「『……対立が招いた 各地の暴動は大きな変化をもたらすための布石だった』」
【新神代政府最高責任者】
「『非など無い。お互いに。私達はどんな岐路に立たされても 支え合って生きなければならない』」
【新神代政府最高責任者】
「『政府と有権者 その関係性が物語ってるようにね……』」
【タマ】
「――えー以上のように 舞台を自分中心で回らせたかったら 現実という結果で正当化すればいい」
【タマ】
「優等なら何でもできるわけで できないのは劣等だからと明確に結論付けられる」
【タマ】
「もっとも あたしは他を求めた覚えなど一度もないというのに」
【タマ】
「よって 自分はあたしの欲求を充足するために全神経を集中させる」
【タマ】
「あくまで あくまで協調性はエゴの中で育んでもらう」
【タマ】
「先生のように 他に干渉されて生きるようじゃ本当の自分は引き出せない……と信じるなら何があっても屈するな。曲げるな。ブレるな」
【タマ】
「学生。エゴの欠如と憧れは選手生命の終わりを意味する。明けの明星になりたかったら心のテロを育め。今日の講義は以上だ」
【学生】
「仕事をして下さい(……それはまるで自分に言い聞かせてるような そんな印象を持ったのは自分だけだろうか)」
【タマ】
「今した。先生がお前ら裏神代の連中に 教えられることはそもそもないよ」
【学生】
「恐さを感じなくなったのは単なる気のせいでしょうか?(気のせいなもんか。政府の姿勢がこうして夢と希望を与えてる。もうすぐだ。もうすぐで)」
【タマ】
「いたぶるのはこの辺でやめてくれ。客寄せパンダは極度に緊張してる」
【学生】
「残念ながらその手には乗りません(自虐的な皮肉でその場を切り抜けられてもね)」
【タマ】
「なんだお前 今朝の会見を知らないのか?施行はされてない」
【学生】
「舞台を乗っ取っても法を犯しては――」
【タマ】
「学生。言っとくが 親切としつこいの境界線は難しいぞ」
【学生】
「カズさんは後者ですよね?(この話題に持ってこれた――というより誘導された?)」
【タマ】
「あいつはストーカーだ」
【タマ】
「だからこそあたしを護ってくれるんだけど」
【タマ】
「お前らだって 嫌いな食べ物をどうしても食べなくちゃいけなかったから それを感じさせないアレンジ料理を考えるだろ……?」
【学生】
「まだ終わってないと言いたいのでは?(必ず動く。必ずな)」
【タマ】
「事実 終わってないだろ?真意を確かめたいなら 動くかどうかを問え」
【学生】
「まさか カズさんの生き方に本気で憧れを……?(今じゃブームの火付け役だもんね。人間物語って……そこまでの傑作?)」
【タマ】
「やるじゃないか裏神代。よく調べ上げたな。そうだ。道草を食ってやるのは相手の盲点を指摘できるまで」
【学生】
「全ての存在が恋愛対象だなんてカッコよすぎます(闇雲に探りを入れるより 点数稼ぎに走った方が損はないよね)」
【タマ】
「フッ……先生の機嫌は頗る好転した。こんな優等な学生諸君に囲まれていたのをすっかり忘れていたよ」
【学生】
「それはこの後 学長直々に来年度入学試験の指揮を一任されるからでは?(惨めな思いをするなら辞めざるおえない。賢明な処置だ)」
【タマ】
「……あたしは親のような子のような そんな曖昧な立場にいられる。いい加減いつものように汲めるよな?お前ら」
【学生】
「………」
【タマ】
「(……つまらない。つまらないよほんと。心の鍵の掛け方も知らないなんてさ)」
【タマ】
「えー今日の議題は 資格完全使用禁止に伴うこれからの方向性について」
【タマ】
「………」
【タマ】
「……心理学に全然見合ってないからって フラストレーションだけは溜めないでくれよ」
【学生】
「客寄せパンダは来園者に芸を魅せないと立場が危うくなるだろ?早く始めろよ(こっちは寄り道してまでここに来たんだ。手ぶらは許されない)」
【タマ】
「本当は別のことを言ってやりたいのに それが言えないから嫌味や皮肉になるそうだ」
【学生】
「………」
【タマ】
「これでも心理学部の講師をやらせてもらってる以上 嫌でも時間を割いてやらないといけない」
【タマ】
「だとしても示しがついてないって?道理だ。あたしは研究室にいる。不安や恐れを抱えてる学生はいつでも訪ねてこい。いくらでも解決してやる」
【学生】
「それでこそ私が憧れるタマ先生ですッ!この場を完全に掌握してるッ!(何やったってダメ。タマアルゴリズムの解析は不可能。法で封じ込めるしか……)」
【タマ】
「………」
【タマ】
「では手っ取り早く攻略法を話す」
【タマ】
「新神代が現代化する気なら現代を利用するのが一番」
【タマ】
「あたしなら すぐにでもサウスに引っ越す。今一度 現代の存在意義を見つめ直す」
【タマ】
「それでもなお 退学する気なら――」
【学生】
「ちょっとよろしいですか?」
【学生】
「この政策決定は単にあなたを抑止する為だけにとられた処置ではないとしたら 政府の本当の思惑って一体何なんでしょうか?(自分は今の政府が本気で現代創作を支持してるとは思ってないので)」
【タマ】
「……しつこいなぁ」
【学生】
「正気ですか?だとしたら新神代の末路は?どんな構想をッ!?(……はは 教えを乞うようじゃ死んだも同然だな)」
【タマ】
「さあ。これからは先生もお前らと一緒で 確率と仲良くしないといけないから」
【学生】
「………」
【タマ】
「……悪いな学生。先生のせいで」
【タマ】
「代わりに愚痴をプレゼントしてやる。もちろん受け取るかは任意だ」
【タマ】
「今年度入学者は大半が裏神代出身ということで カリキュラムを大幅に変更する羽目になった」
【タマ】
「そう お前らが現代がどういうところで どういうモノか知らない事情を汲んでそうなった」
【タマ】
「そうなんだ。残念なことに 今のところ創らなくていいは罷り通らない」
【タマ】
「……いいか学生。必ず守れ。今から伝えること。それはいわば神だ」
【タマ】
「不倶戴天の関係であること」
【タマ】
「背くなよ。絶対的に……」
【学生】
「………(何を言うかと思えば いまさらそんなこと……)」
【タマ】
「講義は以上。先生はお前らの希望に沿って 学長に話を持ち掛けられてくるから後はのらりくらり――」
【学生】
「ソラは新神代にいる」
【タマ】
「………」
【学生】
「………」
【タマ】
「あたしもそう思うよ。それじゃ」
【タマ】
「………」
【タマ】
「ま あいつなら結び付けるだろうな」
【タマ】
「ここに戻ってきた時点で 証明したようなものだし」
【タマ】
「大抵 線を引きたがる」
【学長】
「……おや?」
【タマ】
「……しらじらしい」
【学長】
「はいはい。おかげさまで 校内放送を促す手間を省けましたよ」
【タマ】
「………」
【タマ】
「あたしの記憶は 大学側が職員募集をかけたと言ってるが?」
【学長】
「そしてあなたが応募し 採用に至った」
【タマ】
「お互いが一回ずつ求め合った」
【学長】
「経営者と従業員という関係性がその主張を退ける」
【タマ】
「要はあたしが認めてないだけの自分勝手な言い分」
【タマ】
「失礼しました」
【学長】
「政府もこれからは そうやって有権者に対し 言葉を選んでいくんでしょうね」
【タマ】
「いや 従来のように絶対的現実があれば わざわざ諂わなくても済む話です」
【タマ】
「誰だって 自分に見合ってるかどうか確かめたいから あれこれ求める。求めてみて」
【タマ】
「ふさわしいなら ふさわしく振る舞った方が どうみても理にかなってる」
【タマ】
「そうは思いませんか?学長」
【学長】
「境界線上からの眺めはいかがです?タマ先生」
【学長】
「……一応 伝えておきます。来年度の入学試験は”人間物語”に決まりました」
【タマ】
「あたしは携えられるだけで満足です」
【学長】
「私は指揮棒を振るえと命令してる」
【タマ】
「お世話になりました」
【学長】
「何とも いたわしいですね」
【タマ】
「………」
【学長】
「タマ先生は概日リズムをご存じで?」
【タマ】
「学長……」
【タマ】
「すいません。これは議論ではなく質問なんですが どうして入学試験に現代作品を?」
【学長】
「………」
【学長】
「大半の主人公が 自分以外の診断結果を 必ずしも適性と認めないからです」
【タマ】
「……それが答えだ。証明もした」
【学長】
「ええ。あなたが示したように 推薦組の学生はひとまず 一般組が抱える伝染病だけに気をつければ……いいわけですが」
【タマ】
「いっそのこと 推薦枠を撤廃しては?」
【学長】
「あなたのおかげですね」
【タマ】
「あたしのおかげで ね」
【学長】
「……よろしい。ききましょう」
【タマ】
「誰もが生まれ育った時代環境に従順で 誇りも持ってる。そう易々とは引き下がらない」
【タマ】
「歳を重ねれば時代は変わる。傍観はできても対応までは至らない。否定されそうになったら意地でも護ろうとする」
【タマ】
「裏神代の連中にいきなり現代は創れない。むしろ本気にならない」
【タマ】
「現代なんぞに頼らなくてもやっていけると思い込んでる」
【タマ】
「永遠に」
【学長】
「ソラさんはどうでしたかね?」
【タマ】
「………」
【タマ】
「……ふぅ。あたしも落ちぶれたもんだ」
【学長】
「まぁそれはともかく 責任者として 一番優秀な部下に任せるのは当然のことで それでいて あなたには”一週間”で事足りたはずでしょうから」
【タマ】
「……あ~あ こうなるんだったら わざわざ神生を複雑にして楽しもうなんて思わなきゃよかった」
【学長】
「タマ先生。いいですか?すべての権限はあなたが握ってるわけですから 好きなようにやったらいいんです。成果さえあげられれば 恩師は何も言いません」
【タマ】
「――それともはじめから捨て駒だったのかよ」
【学長】
「例えば カズさんをサクラとして招待しても何の問題も生じないということです」
【タマ】
「前回の脚本を参考にしたい」
【学長】
「すぐ用意させましょう」
【タマ】
「………」
【学長】
「おや どうしました?話は済みましたよ。次に備えて下さい」
【タマ】
「……備えてる。学長が引導を渡してくれないと あたしはここを動けないので」
【学長】
「あなたは……何を言って――」
【タマ】
「幸運を」
【学長】
「………」
【学長】
「よ よろしいんですか?」
【タマ】
「何が?」
【学長】
「ソラさんです」
【タマ】
「匿ってるよ。幇助してる」
『
【タマ】
「……後悔は……ないんだな?」
【ソラ】
「んにゃ? 振り向かるためなら 我慢の少しくらいへっちゃらへっちゃら」
【タマ】
「……いや お前じゃなくて替え玉の方」
【ソラ】
「このわからず屋。お前は巫女ちゃんかッ!」
【タマ】
「………」
【ソラ】
「……タマいい?相手が違うだけで 献身したい気持ちは同じなんだってば」
【ソラ】
「知ってるかな?とある主人公がね みんなにこういうアドバイスを贈ったんだ」
【ソラ】
「愛されることは幸福ではない。愛することこそ幸福だって」
【ソラ】
「私は愛せた。それってさ……」
【ソラ】
「タマも恋してみればッ!?それも本気のッ!本当の自分を知ることができるよ……」
【タマ】
「(……本当の自分を知ることになるよ。もうすぐ。もうすぐ……か)」
』
【タマ】
「………」
【タマ】
「……はぁ~。めんどくさ。お目覚めの合言葉なんてさ」
【タマ】
「あたしはお前が出てくるタイミングを見抜いていた」
【タマ】
「カズがあたしを選んだ直後に現れる演出はあまりにも辛かった」
【タマ】
「神代に潜り込むまでは まだ別の逃げ道があった。あったのに 期待を裏切るから……」
【タマ】
「この恋愛中毒者が。そんなに大恋愛したかったら現代でやれよな」
【ソラ】
「ごもっとも♪」
【タマ】
「おかえりソラ。あたしも今帰ってきたところだ」
【タマ】
「先手を打っておくけど お前から預かったお荷物は迷子センターの世話になってる。大学も辞めてきた」
【ソラ】
「んなことより前半の棒読みは何なんのさ?」
【タマ】
「アドリブのやり過ぎで 開き直ってる ってところかな」
【ソラ】
「シャバの空気はやっぱうめえ と言いたいわけだね」
【タマ】
「ああ うまいよ。ものすごく。けど お前は味わえない。もう 外に出られない」
【ソラ】
「………」
【ソラ】
「そりゃそうだ。私の寿命は私で決める。延命治療なんか望んでない」
【ソラ】
「ん~ 何かしっくりこないね。久しぶりの再会なのにさ。もっとこう テンションを上げてこうよ」
【タマ】
「……フッ 何言ってる。よそよそしくなるのは嬉しいからに決まってるだろ」
【ソラ】
「ホントかな。そういう時はどうすんだっけ?」
【タマ】
「ほら あたしからのサプライズプレゼント」
【ソラ】
「なんだって~ッ!?」
【タマ】
「お茶。懐かしいだろ?」
【ソラ】
「へへっ お客さん。バカ言っちゃ こっちもバカになっちゃうしかなくなるぢゃん」
【タマ】
「……どんな理屈だよ おい」
【ソラ】
「これはね しぶ~いお茶チャ♪ まだまだ勉強不足だねぇ~。にゃはは♪」
【タマ】
「……はぁ お前の相手は疲れる。カズがこの場にいたらすぐ押し付けたのに」
【ソラ】
「もしもしタマ君。お供には是非ともせんべいを連れていきたいのだが」
【タマ】
「……ついでにニュースも引き連れてやってくれ」
【ソラ】
「このこの さり気に間なんか持たせてちゃって。タマも昔と全然変わってないやん」
【タマ】
「呆れ果てても ものが言えてるあたしを逆に褒めてもらいたいよ」
【ソラ】
「へいへい わかりやした。ご期待に応えるためにも さくっと それもおとなしくッ!情勢把握といきますか」
【タマ】
「やれやれ やっと満足したか」
【ソラ】
「ふむふむ……っていきなりコマーシャル突入かよッ!悪ふざけは私達だけにしてよね」
【タマ】
「フッ お前も無駄に歳を重ねたな」
【ソラ】
「ムッ なんか言った?」
【???】
「『時は新神代……』」
【タマ】
「ッ!?」
【???】
「『どの時代にも時代なりのルールがある』」
【ソラ】
「テロップ……?」
【???】
「『過去の現代作品がついに解禁』」
【ソラ】
「やたらもったいぶるね。タマ これって何のコマーシャル?」
現代テーマパーク inサウス
近日リニューアルオープンッ!!
【新神代政府最高責任者】
「『一緒に現代を知ろう』」
【ソラ】
「………」
【タマ】
「……それじゃ あたしは外の様子でも」
【ソラ】
「タマッ!」
【タマ】
「………」
【ソラ】
「あのさ……」
【タマ】
「……な なんだよ」
【ソラ】
「……どうせ 裏神代が現代作品の全面公開を要求したんでしょ。ちがう~?」
【タマ】
「え……?」
【ソラ】
「そこはかとないんだろうねぇ。現代創作を支持してなさそうな素振りは全く見せないほどにさ」
【タマ】
「フッ……さすが 付き添っていただけあるわ」
【ソラ】
「あ やっぱりそうなんだ。でもそれはどっちでもいいことでしょ」
【ソラ】
「せっかくやろうとしてるんだから タマだって邪魔しちゃダメだよ」
【ソラ】
「未来は創るもので んでもって たやすく予言できるんだから」
【ソラ】
「だって そうなるように仕向ければいいんだもん。看破されなきゃ 否定も非難も出てこない」
【ソラ】
「自分で出した答えに従順なら とことん従順でいてもらう。自己否定さえさせない」
【ソラ】
「イチ有権者としてはですね 政府にはそれくらいの結果を求めてもバチは当たらないと思うんですよ」
【ソラ】
「言いかえれば ならではってヤツですか。でなくては。でなければ……」
【タマ】
「………? ッ!?」
【タマ】
「え~と 政府は今後の神材育成をどんな形で支援しようとしてるんだろうな」
【ソラ】
「タマはどう考えてる?」
【タマ】
「お前と同じに決まってるだろ」
【ソラ】
「そう」
【ソラ】
「プロの世界にいけばいくほどさ 見極めが難しくなる……ぢゃんか」
【ソラ】
「その世界を 生き抜くには今してることが本当に自分を成長させる?させてる?わかりゃしないときた」
【ソラ】
「タマみたいに 成長期と限界の境界がわかれば 自分で自分をダメにせずに済んだのにね」
【タマ】
「ソラ」
【タマ】
「あたしは……あたしは……今ものすごく悲しいよ。お前が今でもそんなこと言うなんて」
【ソラ】
「う~ん これは読めん。タマの市場価値を表すとしたら 一体どれくらいになるんだろ~?」
【タマ】
「その前に追い出された後のことを考えろ」
【ソラ】
「チーム形式にして競い合わせるんだったら 巫女ちゃんとタマは外せないなぁ」
【タマ】
「……自分で自分を追い込んだくせに」
【タマ】
「あ そうか。案の定 新神代になって罰則規定が緩和されたわけだし 今なら神代に許しを乞えば何とかなるかも」
【ソラ】
「いやいや 私は城下町にも出られない 幼気なお姫様役が性に合ってるから♪」
【タマ】
「どうだか」
【タマ】
「……んで あたしは何を?お姫様」
【ソラ】
「うむ。苦しゅうないぞ。近う寄れ」
【タマ】
「……姫。お言葉を返すようですが はしたのございます」
【ソラ】
「よいではないか♪汝もそう申しておるぞ」
【タマ】
「いえ そのようなことは一切。断固。微塵も申しておりません」
【ソラ】
「わらわは姫君じゃッ!」
【タマ】
「………」
【ソラ】
「もぅノリが悪いなぁ~」
【ソラ】
「仲間集めは ちと気が早い。とくればッ!?」
【タマ】
「……こなくていいよ」
【ソラ】
「そんな話じゃないから尺取るのッ!」
【ソラ】
「語って欲しいなぁ。巫女ちゃんとのデート」
【タマ】
「う 嘘だと言ってくれッ!まさか 切り出すタイミングを見誤ったとか。お前が?」
【ソラ】
「もっち上から目線で♪」
【タマ】
「図星か」
【ソラ】
「先に答えるのはそっちだっての」
【ソラ】
「フラれた相手と一緒にはいられない。だから巫女ちゃんがこの場にいないのは理解できる」
【タマ】
「………」
【ソラ】
「……ねぇタマ。どうして どうして捨てて来ちゃったの?親は何があっても子を見捨てちゃいけないんだよ。学んだはずでしょ」
【タマ】
「あたしはお前と違って 好感が持てなかったんだよ」
【ソラ】
「おーい 答えになってないぞ」
【タマ】
「……道理だな。それじゃあらすじだけ」
【タマ】
「あいつはあの後 あたしを現代テーマパークへ連れて行った」
【ソラ】
「いつ自己否定してもおかしくないのに まるでデートプランを立てていたようなしたり顔とはしゃぎっぷりだった」
【タマ】
「アトラクションは一方的に決められ 受付でコーディネートもされた」
【ソラ】
「うそーッ!ごういんッ!マジじこちゅうッ!でも巫女ちゃんならやりかねないよね。だって変態だし」
【タマ】
「動き出したら動き出したで あたしを一週間も寝かせなかった」
【ソラ】
「なんですと……?」
【ソラ】
「あ、あのやろうッ!私は無条件で下ネタ禁止をのんでやったのに 自分はちゃっかり楽しんで……むむッ!許せんッ!」
【タマ】
「プッ!なわけないだろ。あいつはあたしに対しても護り通したよ」
【ソラ】
「なんでぇ。ってか思わせぶりはヤメえ~いッ!!」
【タマ】
「んじゃ観る?」
【ソラ】
「……まいったなぁ ぉぃ。嫉妬心でも育めってか」
【タマ】
「あたしはカズの所在を調べてくる」
【ソラ】
「心の準備はバッチグーですぜ 旦那」
【タマ】
「あいつが何をしてようと ”確かな現実”を置いて 現代へ先立つことはないだろうから……いるだろ。どこかに」
【ソラ】
「でもお腹の準備はまだなんだ。ホームシアターもポップコーンだよね♪」
【タマ】
「他に要望は?」
【ソラ】
「………」
【ソラ】
「いちおー 訊いとく。テリトリーコードの安全性はどうなってんの?」
【タマ】
「いちおー 言っとく。常時更新だから心配はないだろうけど」
【タマ】
「万が一 解読されたらカズを誘拐して現代に高飛びする予定」
【ソラ】
「魔王になった巫女ちゃんを一目見たかったなぁ」
【タマ】
「許されるなら 使うかどうか決めるだけ。許されないなら 使えない」
【タマ】
「協調性なんて それだけで十分だ」
【ソラ】
「上映中はお静かに♪」