七夕の夜、星空にかけた願い。
あれから5年が経つ。
私はすっかり高校生になった。
小学生の頃の初恋なんて、叶わないのが普通。だからもう、割り切らなきゃいけないって、分かってる。
けど……
もしも願いが叶うなら、もう一度彼に会いたい。夏が近づくと、その気持ちは日増しに強くなって、そう思わずにはいられなくなる。
だから……今年の七夕は、そう……願ってもいいかな。
あの日、彼に渡すはずだったキーホルダーを紙袋から出す。彼の誕生石――ブルーのサファイアの入ったキーホルダーを。
そしてその手に、あのペンションでもらった私の誕生石――真っ赤なルビーの入ったキーホルダーを重ね合わせた。
そして私は、七夕の夜。夜空に向かってお願いをした。
“織姫様、彦星様、どうか……また、彼と引き合わせてください――”
目を閉じて、心の中でゆっくりと、そう願った。すると、私がそっと目を開いた時……
夜空の星がふたつ、キラキラっと瞬いた様な気がした――
でもね、だけど。
彼に再会できたところで、5年も経ってるんだから。どこかですれ違ったって、彼だと気付ける自信なんてない。
それに、ちゃんと話せる自信だってない。だから……たぶんこの願いは、叶わないまんま、いつしか心の奥底に沈んで行ってしまうんだろうなぁ。そう、思っていた。
七夕から3日後の7月10日。もちろん、彼にまた会える兆しなんて全然ない。けれど今日は私の誕生日。毎年、誕生日がくるたびに思わずにはいられないことがある。
――あと3日、あと3日誕生日が早かったら、ステキだったのになぁって。
誕生日が“納豆(710)の日”だなんて、なんだか全然ロマンチックじゃない。けれどいつか……好きな人からおめでとうなんて言われたら、その一言だけでどんなに嬉しいだろうなぁなんて、ひとり物思いにふけっていた。
すると、ポコンッとケータイが鳴った。着信、1件。
それは、ソーシャルネットワークのサイトから、私へのメッセージが届いたことを告げるメールだった。
次話は本日7月10日の夜5時ごろ、そして、本日夜7時に予約投稿にて完結します。




