花火大会と、曇り空。
待ち合わせに集まったのは、私を含めて女の子が3人、男の子が2人。彼だけが来ていない。すると1番最後に来た彼の親友の男の子が、私が聞くより先に話しはじめた。
「優星のやつ、急に来れなくなったんだってさ……」
普段は明るい子なのに、少し低いトーンでみんなに言った。
その途端。私の心の中に、ズドンと何かが落ちるような、すごくすごく残念な気持ちに襲われた。
なんだ……彼は来ないんだ……。そう思うと、急にドキドキしていた気持ちも、わくわくしていた気持ちも、すべてが暗闇に包まれてしまった。
そんな私を察したのか、その男の子がそっと私に話しかけた。
「笹原、優星のやつが、ごめんなって言ってた。優星、今日すごく楽しみにしてたんだ。だから、責めないでやってくれよな。優星いないけど、俺らでめいいっぱい楽しもうぜっ!」
「うん!」
私は精一杯明るく答えた。明るくしていないと、泣いてしまいそうだった。だから、集まったみんなとも、笑顔で接しながら花火大会を楽しんだ。
けれど……来ないとわかってるくせに人混みの中を彼の姿を探しては、すごく……悲しい気持ちになった。
私以外の女の子2人は、可愛い浴衣姿で、そしてそれぞれそこに来てた男の子と、両思いなんだろうなあって感じて、なんだか私だけが取り残されているような、切ない気持ちになった。
その日の夜空は、どんよりとした雲がかかっていて、やる気のなさそうな風が時々吹くくらいで、雲も花火の煙も、いつまでもそこにふてぶてしく居座っていて、ほとんど星は見えなくて。それはまるで、私の心模様のようだった……。
結局、林間学校の最終日が、彼と会った最後だった。
夏休み中に、どこかで会えるかもしれないとそわそわとしたり、始業式の日に、今日こそは会える! と、気合いを入れて行ったりしたのだけど、彼は……来なかった。
彼は、急に決まったお父さんの転勤で、夏休み中に引っ越してしまったそうだ。
そのことを残念そうにみんなに告げる担任の先生の顔。私は、ただ、それを、淀んだ水の中から空を見上げるみたいな気持ちで、眺めていた――




