彼がくれたプレゼントと、恋のジンクス。
「じゃあな、笹原。また明日。おやすみ」
「あ、うん。おやすみなさい……」
私はそのまま、部屋に戻って行く彼の背中を少しの間見つめてから、自分の部屋へと戻った。
そうして、彼との会話を思い出してまたドキドキしながら、彼がくれた袋を開けてみる。
そこに入っていたのは、私の誕生石がついたキーホルダーだった。
「これ……」
……寝る前の枕トークの時に、友達が話していたジンクスを思い出して、さらに胸がドキドキした。
“ここのペンションオリジナルの誕生石の入ったキーホルダーね、恋のお守りになるんだって。好きな人と互いに贈りあえたら、その恋は、ずーっと続くらしいよ”
彼がそのジンクスを知っていたかどうかはわからない。けど……私はその夜、胸が高鳴り過ぎて、眠れなかった――。
――次の日。
私は何かを期待して、ペンションの売店に向かう。そして……こっそり彼の誕生石の入ったキーホルダーを買った。
“もしもこれを彼にプレゼント出来たら、この恋は…”
考えるだけでドキドキとする。けれど林間学校は最終日。“絶対に今日中に彼に渡すんだ” そう……思っていたのに。
なかなかチャンスを見つけられないまんま、帰りのバスの時間になった。
少し重くなった心臓を抱えながら、私はバスに乗り込んだ。すると、私の前の席は彼だった。
ふとした瞬間、バスの窓に彼の横顔が映る。その姿を見ながらドキドキしてるうちに、私はいつの間にか夢の世界に落ちていた。
そして、ふわふわと心が浮くような、心地よい夢からふと目が覚めて、ぼんやりとした視界に入ってきたのは、窓に映る彼の横顔。 その横顔もすごく心地良さそうに眠っていて、私は再びまぶたを閉じた。
バスの振動に揺られながら、すごくすごく……心地がいい帰り道だった――。
バスを降りて運動場に並ぶ。みんなクタクタに疲れていて、ボーッとしてた。けれど、
“渡すならこれがラストチャンスだ!”
私はそう、意気込んでいた。
するとそこへ彼が来た。
自分から行くつもりだったのに、不意を突かれたからドキドキしてしまって、言葉も出てこなくなっちゃって、どうしようどうしようどうしようって、ただただ、頭の中はそればかりだった時。
「笹原、あ、あのさ、河川敷の花火大会……みんなで行こうって話してるんだけど、もしよかったら笹原も行かない?」
……そう、誘われた。
「え!? うん! 行きたいっ!」
私が答えたその声に、彼はホッとしたような笑顔を浮かべて、
「そっか。よかった。じゃあ、駅前のコンビニ前に、6時に待ち合わせだから! また、花火大会の時なー!」
それだけ言い残して、彼は走り去ってしまった――




