49 ≪やっと≫
紫苑。
やっと気付いたね。
誰かを好きになることは怖くないって。
少しずつ少しずつ、氷が解けるように、紫苑の心は柔らかくなってきていたのに、紫苑の頑固さがそれを認めようとはしなかった。
優斗のあの性格は、紫苑にとっては一種のショック療法みたいなものだったけれど、紫苑にはちょうどよかったみたいだね。
あとは・・・紫苑次第。
紫苑が誰を愛するようになるのか。
ほんとうは、もう紫苑の心のどこかでは決まってるんだろうか・・・?
僕が紫苑と別れる日も近いんだろうか・・・?
そういえば、おみくじが。
『恋愛・決断して吉』だっけ?
まさに、紫苑の今の状況かもね。
でもね、紫苑。
断ることも決断の一つ。
優斗でも、龍之介でも、紫苑は幸せになれるよ。
だけど、それは紫苑も相手を愛していれば、の話。
愛せなければ、断ってもいいんだよ。
いや、愛せないなら断らなくちゃダメだ。
紫苑と別れるのがいやで言ってるわけじゃない。
愛せない人と、愛しているふりをしたまま一緒にいるのは不幸だからだよ。
もしそんなことになったら・・・僕は不幸な紫苑をずっと見ていることになる。助けることができないまま。
それは僕も悲しいよ。
世の中には憎んでいると思っている相手を、心の底では愛している、なんていうこともあるみたいだけど・・・。
紫苑にはまっすぐな恋をしてほしい。
紫苑。
勇気を出して。
愛することも、断ることも。
そうしたら、きっと幸せになれるから。
紫苑が幸せになれるまで、僕はそばにいるからね。
いつも一緒にいるよ、紫苑。