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六 脱出

 『とにかく味方のセラフィア国軍が助けに来るのを待ちましょう、どうやら敵国のガルマイン帝国は私たち二人を装置Qの件で必要としているみたいだから、捕虜の交換とかでセラフィア国に帰れるなんてことはなさそうだし』楓はテレパシーモードでスミス少佐に言った。

 『そうですね、残念ながら東雲大佐の言う通り、もはやそれしかないですね、セラフィア軍が我々を助けに来るのを待ちましょう』スミス少佐は言った。

 そんな会話から一週間は経っただろうか。朝方にガルマイン帝国の中央基地の中で突如として大きな警報音が鳴り響いた。正に耳を劈く様な音がけたたましく鳴り響いた。多分敵国の兵士たちだろう、彼らが慌てふためき、基地の廊下を縦横に走る音も壁を隔てて聞こえてきた。

 『どうやら味方が助けに来てくれたみたいですね』スミス少佐は言った。

 『そうだといいわね、もしそうなら向こうの基地に戻ってから私は元の世界に帰らせてもらう様、江田大将に直談判してみるわ』楓は約一週間前より洗脳が解けてきている雰囲気になった。ガルマイン帝国と戦闘する意思はより小さくなった様だ。

 『大佐、元の世界って・・・よくわからないけど、まさか我々を見捨てるおつもりですか?』スミス少佐は怪訝そうにそう言った。

 『残念ながらそうね、平和ボケした私には戦争なんて最初から無理だったのよ』そう大佐が言うと捕虜施設のドアが静かに開いた。セラフィア国のマークの入った軍用バギーと、一人の軍人がいた。どうやらドアは内側からは簡単に開けないが外からは簡単に開ける仕組みだった様だ。

 「東雲大佐、スミス少佐、お迎えに参りました!どうぞこちらへ!あ、私はグレゴリーと申します。階級は大尉です。とにかくこの軍用バギーに乗ってください、さっさとこんなところから逃げましょう」グレゴリー大尉は恰幅の良い体つきをしていた。

 大佐は乗ってきたレヴァンティスの発信する信号をキャッチした。軍用バギーはまず信号源へとむかった。途中敵国の兵士に何度も遭遇したがその都度スミス少佐がバギー備え付けの武器で倒していった。

 レヴァンティスは、まるで大佐を待っていたかの様に、ガルマイン帝国中央基地の広くて天井の高い、戦利品の倉庫に佇んでいた。組み込みの情報収集機器で調べると、レヴァンティスが天井を壊せば、もうそこは地面だと分かった。

 楓はスミス少佐と共にレヴァンティスに乗り込んだ。以前にも述べたが実はレヴァンティスは練習にも使えるよう二人乗りに設計されていて、当たり前だが、精度よく設計に忠実に作られていた。楓とスミス少尉はセラフィア国へと出発した。グレゴリー大尉は軍用バギーで、味方の戦闘機のところへと帰り、それに乗ってセラフィア国へ向かった。


 楓やスミス少佐、グレゴリー大尉は、無事セラフィア国に帰ることが出来た。一連の出来事を楓が中心となり中央作戦立案室で江田大将に報告した。そしてそのあと楓は江田大将に元の世界に帰れるよう直談判してみたが、元の世界に戻る装置は未完成だし楓は重要な立ち位置にいるからたとえ装置が出来ていたとしても無理だと一蹴されてしまった。


 楓は立ち位置とは装置Qのことだと直感した。 

                       つづく


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