四 出撃
中央作戦立案室に着くとモニターにはガルマイン帝国のY型戦艦が大きく映し出されていた。それは楓達がいる基地のすぐそばの軍港の岩場に設置した高さ三百メートルの灯台のカメラで撮影中のものだった。
戦艦は暫くすると元来た方向へと帰って行った。今回は威嚇が目的だったらしい。セラフィア国軍上層部の江田大将がガルマイン帝国を強く非難する声明を出すことでこの件は一応収まった。なお、戦時中ではあるが、戦争はまだ始まったばかりで、セラフィア国、ガルマイン帝国双方は相手を攻め落とす方法を模索していた。セラフィア国軍最高指揮官でもある江田大将は軍上層部に空軍が所有する無人偵察機一機を緊急でガルマイン帝国へ飛ばすことを軍の会議に提案した。すると、軍上層部で一番若く実力者でもある、空軍レヴァンティス特殊作戦部部隊長レオン・アルヴェルト大尉がレヴァンティスAF一機をガルマイン帝国の防空設備を確認する為に投入することを提案した。それはガルマイン帝国の防空設備が予想を超えるものだった場合に対処できるからだ。その会議の様子を見守っていた楓は、「レヴァンティスでの任務の経験値をあげるためにも自分が出撃したい」と江田大将に直接述べた。すると、江田大将は「東雲大佐は・・・まぁいいだろう。レヴァンティスはLFもNもAFも全部操縦の基本は一緒だしな。但し、サクッと任務をこなしてから生きて帰ってこいよ。実は君の存在はこの戦争の勝敗を分けるほどとても重要なんだ」と言った。
楓は、江田大将の言葉を思い出しつつ、もやもやした感情を持ちながら基地内を移動し出撃可能なレヴァンティスAFに乗り込んだ。
「準備完了。直ちに出撃する」中央作戦立案室はもちろんのこと、セラフィア国内の基地の作戦立案室全てに楓の声が響いた。
『レヴァンティスAFはステルス機能もあるし、この任務は簡単だわ』楓は心の中でそうつぶやいた。
直ちに出撃するという楓の言葉が発せられてから数分後、楓の乗るレヴァンティスAFは例の壁の防爆蓋付の出入り口から空に向かって放たれた。
つづく




