十五 月の裏の基地
楓が複数人いるガルマイン帝国側のスパイの一人になるためにガルマイン帝国で整形手術を受ける事になったのだが、何も施さずに楓の風貌のままガルマイン帝国のスパイになったのでは、メリットとして、セラフィア国の月の裏側の基地に潜入しやすいというのがあり、そしてデメリットとしてはセラフィア国でほぼ強制的に、中身のデータは見れるがコピーが出来ない特殊なメモリチップに入っている設計図がガルマイン帝国側に渡ってしまったため一から設計された装置Qの鍵として使われてしまったり、開発に使われたりするのが明白だからであり、デメリットの方がメリットより大きいとガルマイン帝国軍の上層部に判断されたためであろうか。しかし人口問題はガルマイン帝国にはあるがセラフィア国には最早存在しない。装置Qはセラフィア国には今はもう必要がない筈だ。どうやらガルマイン帝国との開発競争による科学の進歩と将来発生するかもしれない人口問題に今から対処するのが目的の様だ。
楓の整形のモデルとなったのは楓と背格好が似ていた、スミス少佐の妻であり軍人でもあるシャーロットだった。シャーロットはIQが130以上あり、宇宙軍の基地内にいた。楓はスミス少佐にシャーロットの写真が入ったロケットを見せてもらったとき、その写真を記憶していた。そのデータはガルマイン帝国で機密情報をMRIの様な装置でスキャンしたときのものの一つである。
しかしガルマイン帝国側スパイがセラフィア国の月の裏の基地にいるシャーロットに毒を盛る前に、そして整形を楓に施そうとする前に、楓はヴァルグラントを操縦と攻撃の練習とセラフィア国宇宙軍に対する威嚇のためにセラフィア国の月の裏の基地まで行くと偽り一台手に入れて月の裏の基地に向かっていた。
何日もかけ月の裏の基地に近づくと、楓は江田大将と連絡を取り、楓を迎撃しないで基地の幾つかある格納庫の一つのシャッターを開けてもらい、そこに着陸した。ヴァルグラントは宇宙での活動も想定に入れていたが、重力が地球の六分の一である月の表面ではなかなか操縦が難しかった。
楓が到着した格納庫では江田大将が出迎えてくれた。そしてこう言った。
「やぁ、楓ちゃん、久しぶり。今日はこの基地の中で睡眠学習してもらうよ。ちょうど寝る時間だ。ゆっくり体を休めて欲しい」
楓はゲストルームに案内された。疲れていたせいか、楓は直ぐに熟睡モードになったのだった。
つづく




