十三 装置Qと、楓の完全コピーと、タイムマシン
十三 装置Qと、楓の完全コピーと、タイムマシン
「どうやら地球上のセラフィア国の領土は放射能で完全にダメになってしまった様だね。そんな国貰ってもなぁ。それにしても月に基地があって、そこへ選ばれた兵士や宇宙軍顧問になった江田が共に行ってしまうとは予想外だったな。ところで例のブツはどこだい?」ガルマイン帝国某所の研究室で研究員のファインマンが楓にそう訊いた。
「これです」楓はファインマンにビニールの小袋に入れたブツを渡した。
「おうこれか。早速解析して装置Qを十台位作ってみるよ。あと君の完全コピーか。それも十体ほどとりあえず作成してみるよ。とにかくありがとう」
楓はコピーではなく本物の装置Qの鍵だが、ガルマイン帝国に楓の完全コピーが作られたら、楓は用済みだ。最悪毒を盛られる立場だ。良くてセラフィア国の月の基地で通用するよう顔を整形してスパイにさせられるだろう。楓は悩んだ。
そう言えば、楓は、昔の世界に生きている頃、高校の物理の授業で、物理法則は時間に対称的だと習った。これを時間反転対称性というらしい。その対称性を用い、量子コンピュータに特殊なアルゴリズムを与えることで時間を巻き戻す実験に成功したというニュースも聞いた覚えがおぼろげながらある。
楓はそのことを応用しタイムマシンを作ろうと考えた。楓は研究室内を見渡した。ある男が、窓際で将来何かの役に立つかも分からない基礎研究をしていた。テスラという名前の書かれたバッチが目に飛び込んできた。楓はテスラに声をかけた。
「テスラさんは何を研究してるの?」
「ガラス管中に流れる粉体の自己組織化の研究さ。砂などの粒子が勝手に秩序を作る現象の法則性を見つけるために、毎日こうして実験しているんだ」
「そうなんだ、なんだか少し泥臭い研究ね。ところでちょっといいかしら」
楓はテスラと偶然誰も居ない休憩室に行った。
「なんだい?真剣な目をして。まさか俺に一目で惚れたとかそういう事じゃないよな?」
「私とタイムマシンを作って欲しいの」楓はガルマイン帝国のMRIの様な装置で受けた再洗脳が解けていた。再洗脳プロセスのどこかで装置のプログラムコードのバグがあったのだろう。
「あのな、実験中ガラス管の中で粉体が粗密波を見せるんだけど、その動きは、時間を逆にしても決して再現できない。つまり時間は一方向にしか進まないんだぞ。時間の矢はエントロピーが増大していく方向にしか進まないんだ。タイムマシンなんか作れやしないよ」
「でも、時間が対称なら、本来は可能なはずだわ」
「君は時間を操ろうと考えているのか?クレイジーだな、君は。しかし常識は君みたいなやつが突破していくんだよ。だから一日一時間位なら君の研究に時間を割いてやってもいい」
「ありがとう、テスラさん」
「誤解すんなよ、君がかなりの美人だからいけないんだ」
楓はこれで元の世界に戻れるかもしれないと、頬を緩めた。
つづく
最後までお読みいただき、ありがとうございました。評価等の方も宜しくお願いいたします。
また、二章三章がぐだぐだな 旅する猫の占い師、勢いで書いたNagasaki Daydream Rhapsody.、
R18のカトリーヌの胸も宜しくお願いします。




