エントロピー
ええかんじに
「!?」
天成はy9とシュリンプの顔を交互にみた。
なんでいるんだ?!組み合わせも謎だな!
「やあ、天成。こちらの方が案内してくれてね」
y9は天成へ情報を送った。前世を探っているところが目に留まったらしい。
「こんな宗教施設にきていたなんて、疲れたのかよ」気さくに話しかけるシュリンプ。
「いやまて。んなわけねえだろ」
殺されかけたこと。相手のシンジケートがここを根城にしていることを共有した。居住する二人を叩きのめしたことは伏せておいた。
「とりあえず、上がってくださいよ」シンジが後ろから声をかけた。
「今日は変な奴ばかり来るな!わしはもう眠いぞ」ギンセカイは首をストレッチしている。
「ギンセカイさん、こんなところにいたのですね」y9が珍しく会話した。
「うお!会議でうっすらいたような…………あ」ギンセカイは思い出したように合点した。
「影の薄い取締役!」
なんか失礼になっていないか?頭とか強打していたもんなおじさん。
「今回は天成氏の出自について、お話をしに来ました。電脳区を乗っ取られては困るので」
話は筒抜けだ。
「結論からいえば、彼の前世は六幻ではありました」
「ええっ、天成おまえっ、そんなすげーやつ前世なのか!?」
「六幻は第一期転生者として転生したのは良いものの、その肉体は問題を備えていました」
「どういうこと!?」
「………」なにも話せない。
「結合双生児というやつです。人格を持った意志がふたつあるのです。六幻が転生した片方とごく自然な人格を育んだもう片方は対立し、最終的に六幻は死にました。生き残った方も切除手術後に衰弱し、間もなく死にました」
「六幻は再転生しようとするも可値を片割れに吸収されつつあったため、代を閉じました。しかし、片方は転生できました。それがあなたの前世です。あなたは六幻が有する可値を間接的に引き継いだ存在として生きているのです。わたしは膨大な可値を活かすためにあなたを護り、ときには導きました。かつて、神経財団を創立し、可値の源泉となる神経を収集し管理した六幻はその権限を新たなる星の開拓と人類の可能性拡張に使いました。その過程で、支配区域に善行を課するために可値として、生命力を報酬に出したのです」
「なぜ、そんな情報を知っているんだ?」シュリンプは問う。
「六幻の側近、後継者として仕えていたためです。不始末として、天成氏を保護し、可値を再分配することが目的となります」y9は答える。天成は傍で放心していた。ギンセカイは神妙に傾聴していた。シンジは熱心に身を乗り出していた。
「そもそも、おれ関係ないよな?」続けて問う。
「あなたの子供ですが、野良の転生者ということが判明しました。高い可値を持っており、同時に偏った人格を宿しています。この個体に似ている前例があります。伊勢六幻です」
「そもそも彼は集団を圧倒するほどの実績と偏りで、可値を発見し、流用可能なまでにしました。そして、設立した神経財団は世界樹のようにこの星を象徴する国家的企業となりました。死者活用や人工生命製造、転生などのあらゆる手段を用いて、高い可値を集めて、あるときに啓蒙をしたのです。それは可値の大衆化でした。可値に依存したのはエーカンジのみならず、取引をする星にまで影響を与えました。このままいけば、同様に可値を収集する別惑星との苛烈な競争が始まると危惧したわたしは可値を分散させて、目立たなくするために、永遠の支配と嘯いて、転生させたのです。可値を引き継ぐとはいえ、転生そのものが膨大な可値を消費する奇跡的な事象であるため、期待できました」
「しかし、転生後に六幻は死んでしまい、後悔しました。せめてもの償いとして残った天成を見守ろうと考えています……話が逸れましたが、六幻の再来はわたしとしても避けたいのです」
y9はシュリンプをみた。
「ここで提案があります。望月シュリンプさん。あなたのご子息を殺してもいいでしょうか?」
終われ




