【第2話】
放課後の校門付近は、多くの生徒であふれ返っていた。僕はそんな人混みの中を駆け足で抜け出す。辺りに同じ学校の生徒がいなくなった頃には、例の古本屋にたどり着いていた。
お店の雰囲気はかなり独特で、今まで気づかなかっただけあり、このお店を知っている人は少なそうだった。
「すみません⋯⋯お邪魔します」
僕は恐る恐る暖簾をくぐり、店内をゆっくり見渡した。すると、外見からは想像もできないような綺麗に整頓された本棚や、色とりどりのポップがずらりと並んでいた。
しかし、この独特な雰囲気のせいか、お客さんは僕を含め4、5人程度しかいなかった。
「いらっしゃいませ、高校生の方ですか?」
棒立ちしていた僕を気にして、声をかけてくれたのは店長らしき人だった。男性で背が高く、年齢は30代半ばあたりだろうと思った。
「はいそうです。高校生です」
僕は緊張のあまりロボットのような話し方になってしまった。それもそのはず、人とのコミュニケーションを極端に避けてきたから当然だろう。
「そうですか、そうですか!」
店長は僕が高校生だとわかった途端、嬉しそうに微笑んだ。そして、何かを思い出したように本を2冊持ってきた。
「ぜひ、お伺いしたいことがありまして! どちらの本が高校生には人気だと思いますか?」
そう興奮しながら尋ねてくる。なぜ、この人がこんなに嬉しそうに話すのか僕にはわからなかった。
「あ、あの⋯⋯」
「おっと、すいません⋯⋯。いきなり無礼でしたね」
店長は正気に戻ったのか、深々と頭を下げた。そして、自己紹介をはじめた。
「私は、ここの店長を務めさせていただいてます。石井健吾郎と申します」
「あ、はい⋯⋯。僕は狭霧高校の二年生です」
店長の後に、僕も続いて自己紹介をした。そして、さっきから気になっていたことを聞いた。
「あの、店長さんは何であんなにテンションが高かったんですか?」
「実は⋯⋯このお店には高校生が滅多に来なくて、つい君を見かけて嬉しくなってしまったんです」
店長は少し恥ずかしそうに、そう説明してくれた。確かに、ここらへんの高校生のほとんどはこの場所を知らないだろう。
「あの⋯⋯滅多に来ないということは、今まで高校生がこのお店に来たことはあるんですよね?」
「はい、もちろん。それも君と同じ高校の生徒さんだったと思います」
なるほど、僕以外にも狭霧高校の生徒が来ていたとは驚いた。同じ学年だろうか、それとも卒業生なのだろうか。
そんなことを考えていると、僕は後ろから肩をたたかれた。振り向くと、そこには佐瀬くんが立っていた——