表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

異世界に行く方法

作者: マキ

怖くはない、ちょっとした思い出です。

 私は勉強が嫌いだった。特別成績が悪かったり、親が厳しかったりと言う訳では無かったが、長時間机に向かうのは飽きるし、文字を沢山書いていると腕が疲れるし、出来ればやりたくなかった。

 だが、中学三年生の時、人生で初めて勉強から逃れられない時が来てしまった。偏差値の高い高校に行くつもりは無かったが、両親の考えで塾に行くことにした。はじめは週2日で1日1コマ(80分)程度だったのが、夏季講習辺りから日数やコマ数が増え、多い時期では週6日、1日2〜3コマ通うことになった。当たり前に苦痛である。集団授業は学校の授業と変わらないだろうと思い、個別指導にしたが、それでも授業中に寝た。

 それまでは自由な時間が長かったが、塾に通ってからはスマホを見る時間も減り、本も10分休憩に読むくらいである。テレビも見れない。私よりもハードなスケジュールをこなしている人は多勢いるだろうし、特に受験期である。もっと長時間勉強している人の方が多かっただろう。それでも、当時の私にとってはかなりストレスだった。


 多分、病んでいたんだと思う。中三の後半は夜な夜な異世界に行く方法などを検索しては試していた。

 その中に「行きたい世界(アニメなど)とそこでの自分を書いた紙を指輪の様に指に巻いて寝る」という方法があった。もっとそれらしいおまじないは沢山あったのだが、どれも怖いし、試してみた他の方法に効果は無かったので、軽い気持ちで試してみた。

  結果は、見ての通り。普通にそのままの世界で暮らしている。現実世界に似通ったアニメにしていたので、もしかしたら、とニュース等を確認してみたが何も変わっていなかった。

 それから何度か書いているアニメを変えたり、設定を細かくしてみたりして試したが効果は一切無かった。だが、奇妙な事は起こった。

 朝、起きると指に巻いていた筈の紙が無くなっているのだ。寝ている間に外れたのだろうが、布団のどこにもない。ベッドの隙間や下も覗いてみたが、それらしいものは見つからない。何度も試したが毎回そうだった。

 また、3回目か4回目くらいからは金縛りに似た現象が起こった。意識ははっきりしているのに、目は開かないし、落ちる感覚が何度も訪れ、体の中でフワフワムズムズした不快な感じがする。その後、1、2分程度でそれらは治まり、眠れるのだ。

 最近はそれを試した事は無いが、思い返すと、その金縛り擬きが起こった時には、紙の指輪は巻いていなかった気がする。確かめた事は無いから分からないが、私が作った指輪は第2関節に当たって、指が曲げづらくなる筈だが、私は手をグーパーして何とか不快さを逃そうとしていた気がする。

 もしかしたら、アニメや設定を変えずに何度もやっていたら、本当にその世界に行けたのかもしれない。流石に今、異世界に行くのは困るため試さないが。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ