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55/63

55話目

全63話です


今回に限り「あゆみと瞳美」は曜日に関係なく毎日2話ずつ、18:00と18:10に投稿します(例外あり)

※特に告知していなければ毎日投稿です

 卒業式は三月一日に行われた。公立高校はほとんどこの日なんじゃあないかな。あたしの高校は制服はブレザーなんだけどね。あれ、まだ言ってなかったっけ? 当然、あたしもブレザーで三年間通したよ。もちろん女の子として。


 そして今、身体は女の子、戸籍は男の子って状態になってる。


 そうだ、名前はどうしたんだって話だよね。[歩]なのか[歩美]なのか。結果は、どちらでもないんだ。[あゆみ]のまま行く事にしたんだよ。


 これにはちゃんとあたしなりの理由がある。まず[歩]にしない理由。それはあたしが女性という姓を名乗るつもりだから。そしてもう一つ[歩美]にしない理由。それは戸籍は男性のままだから。


 これはお父さんとお母さんから送られた気持ちに対してのあたしなりの回答かな。あえてひらがなで[あゆみ]ってしてくれたその意思に報いるつもりでそうしたの。つまり役所には行ってないんだ。


 当然、病院からも役所への届け出はなかった。だから戸籍はあくまで男性なの。


 それでいいんだ、って言ってくれる人がいる。人たちがいる、それだけであたしは良かったと思ってる。


 あたしも自分で決めた道だからこれで良いと思う。もちろん、これから先、いろんな困難が待ち受けてると思う。けどね、あたしはもう一人じゃあないんだ。パートナーがいる。それもすぐ近くに。それだけで[何だってやってやる]って感じですよ。


 そんな卒業式を送られる側の席で過ごしたんだけど、不思議と涙とかは流れなかったなぁ。中には泣いちゃってる子もいたけど、それよりもこれから先の事を考えると、それどころではない、というか。


 瞳美ちゃんも特段泣くような事はなかった。最後にクラスで集まった時もいつも通り、少し表情は豊かになったけどいつもの瞳美ちゃんがそこにはいた。


 卒業して、あとあたしたちがやれるのは合格発表を待つ事だけ。一週間後には出るはず。だけどその一週間、どこかへ行く気力はないのですよ。気が気でないというか。


 だから瞳美の家に遊びに行ったよ。ご両親もいて、和やかに話をした。もう、すっかり打ち解けてくれて。でもね、ご両親ともに[あゆみちゃん]って呼んでくれるの。それがとても嬉しくて。


 性の問題が解決した訳じゃあない。あくまで方針が決まったに過ぎないんだ。それは敢えて女性という性を選択しなかったあたしの選択。そして瞳美と一緒になろうとした、あたしの選択。


 これが正しいかどうかは分からない。って言うか、正解なんて誰も決められないし、決めるものでもない。ただ、あたしが進んだ道があたしの、あたしたちの正解なんだって。


 そうだ、そんなある日に、同性婚を認めないのは違憲なのではないか、という裁判の控訴審の判決が出たって話が舞い込んできた。


 結果は違憲だって。


 憲法二十四条一項の「婚姻の自由」への違反が明示されたんだ。これはとても、とても大きなことだよ。同性でも婚姻が出来る後ろ盾の一助になったんだ。もちろん、高等裁判所の判断だから、最終決定ではないけど、各地で起こされてる裁判の助けになるんじゃあないかな。


 それでもあたしは性を変えないよ。だって、子供が欲しいもん。通常婚を目指すつもり。周りが何と言おうがね。そうやって決めたつもりだし。


 そしてあたしたちは晴れて合格通知を貰う事になったんだ。


全63話です



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