51話目
全63話です
今回に限り「あゆみと瞳美」は曜日に関係なく毎日2話ずつ、18:00と18:10に投稿します(例外あり)
※特に告知していなければ毎日投稿です
採取が終わると、いよいよ手術室に連れて行かれる。
そこにはいつものお医者さんが手術着に着替えて待っていた。
「体調は大丈夫ですか?」
そう聞かれて[ハイ、大丈夫です]って答えた。
手術代に乗せられて、麻酔を追加で打たれる。そうか、部分麻酔のままなんだ。あたしはてっきり全身麻酔をかけるものだと思ってたけど。
しばらくして、
「感覚ありますか?」
って聞かれるんだけど、これが部分麻酔の本気なんだね、全然触られてる感覚がないんだ。その事に感心してると、
「大丈夫そうだね、それでは始めます」
お医者さんは少し笑ってそう言った。
手術自体はそんなに時間はかからなかった、と思う。流石に時計もスマホも持ってないからどのくらいの時間そうしていたのかは分からない。でも、股の間に何かされているという感覚だけは何となく伝わって来た。輸血もしたよ。
それがしばらく続いて、
「終わりましたよ」
そう言われたんだけど、いざ終わってみると何の感慨もないというか。まぁ、麻酔が効いてるからね、当たり前なんだけど股間の感覚が無い。
手術が終わったらそのまま病室へ、って訳じゃあないみたい。別の部屋で看護婦さんと一緒にしばらく待機なんだって。もしも体調変化があったらすぐに処置できるように、だって。
お股は包帯で巻かれていてどうなっているか分からない。しばらくはお股を触っちゃあいけないらしい。感染症? とかなんとか言ってたな。
あれ、トイレはって思ったけど、カテーテルを刺されていた事を思い出した。そりゃあそうだ、トイレもいけないもんね。大きいのはどうするんだろうか。
「それなら大丈夫ですよ」
ってトイレの行き方を教えて貰った。……分かりますよ、分かるんですが、自分の尿のバック持っていかないといけないの? まぁ、そんな愚痴が出るほど順調に事が進んだんだと思えば文句も言ってられない。
しばらくして、
「もう大丈夫そうですね」
そう言われて病室にベットごと連れて行かれる。そこには瞳美が待っていた。
「大丈夫?」
そう聞かれて、
「うん、平気だよ」
そう答えた。瞳美は瞳美で待合に行ったあとに今後の入院手続きを進めてくれていた。代理人って形になるんだって。で、着替え一式を持って今に至るんだけど、
「明日にはお母さんが来るって。今日は瞳美が付いていてくれる?」
そう聞いたら、
「当たり前じゃない」
そりゃそうか。でも嬉しいな、パートナーがいるって。両親とはまた違った感覚なのですよこれは。確かに両親がいると安心はするけど、何だろう、いつまで経っても子供っていう扱いなんだよね。それが今は瞳美という対等なパートナーが傍にいてくれるんだ。そして守ってもくれる。
あたしは彼女に何がしてあげられるだろう。こうやって手術を受けたからそう思ったんだ。そうだ、あたしが出来る事、それは出産の立ち合いかな、なんてね。
でもいずれは[なんてね]では済まないんだ。そう二人で話し合って決意したんだから。
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