48話目
全63話予定です
今回に限り「あゆみと瞳美」は曜日に関係なく毎日2話ずつ、18:00と18:10に投稿します(例外あり)
※特に告知していなければ毎日投稿です
次の日、厚意で診察してくれたお医者さんに自費での治療を目指す旨の話をしたんだ。もちろん瞳美が将来、パートナーになる話も。
そうしたら、
「現在の疾患の状況としては精巣が残っていますから採取は可能でしょう。ですが、ここまで女性化が顕著ですので正常着床するかどうかは別問題です。それでもいいですか?」
と問われた。だけど、その辺りは瞳美、調べてたみたいで、
「着床時に遺伝子検査する事は可能でしたよね、でしたらそこで改めてご相談させて頂きたいと思うのですが」
そっか、遺伝子検査ってのがあるんだ。まぁ、確かにこれだけ昨今は不妊治療が叫ばれてるからね、その辺りの技術も上がっているのでしょう。
「では自費での手術の日程ですが、本当を言えば前倒したいところではあるのですが、その辺りはどうでしょうか」
と聞かれる。そうだよな、確か思春期前の摘出は避けるべきだって話だったけど、思春期にはもう入ってますがな。となれば早い方が良いのか。
「ちなみにいつ頃なら入れそうですか?」
って尋ねたら、
「最短で五月が一日ほど空いてますね」
お医者さんはパソコンに向かいながらそう言ったの。じゃあ早い方がいいなら、
「五月に入れてもらえますか?」
そう聞いたよ。そしたら、
「その答えを待っていましたよ」
うーん、このお医者さんの笑顔はどう解釈すべきなのか。まぁ、でもあたしが物心つく前からお世話になってる先生だからね、きっと良い意味での笑顔なんだろうな。確かにリミットは十八歳とは言われてたけど、その前に出来るなら、とは何度か言われてたし。
今のあたしは生きる先が見つかったから、逆にしっかりと生きたいというか。
どうやらこの疾患は少しでも早く摘出手術を受けた方が良いらしい。何でも癌化するらしくて。そういう意味でも男と女って相いれないのかも? まあ、詳しくは分かんないけどね。でも一つの身体に二つの性はやっぱり入れておけないんだなぁって。
そのあとは詳しい日程を教えて貰った。日帰りは流石に無理らしく、大事を取って一週間の入院って話になったんだ。
病院をあとにして、あたしたちはまた新幹線に乗って家に帰って来たんだ。そこで待っていたあたしのお父さんに事情を説明した。
初めは[人からお金を受け取るだなんて]と言っていた父でしたが、結婚の話をすると[そうか、そこまで考えてくれているんだね、ありがとう]って瞳美に頭を下げていたよ。
あたしはあたしで、向こうのご両親になんて言ったらいいかって、そればかり考えてた。うーん[娘さんをあたしにください]が妥当かな? まぁ、そうなるんだけども、まだ早い、というか。
あたしたちは確かに将来を誓い合ったけど、それは今じゃあないんだ。もちろん進学を希望してる。確かに高校を出て就職もありだと思うよ、でもね、進学できる道が残っているならそれに乗りたいとあたしは思う。それは瞳美も同じだ。って言うか進学するつもりだって聞いてるし。
あたしも進学して、大学卒業して、就職して。一区切りついたらそこで初めて結婚を改めて申し込むつもり。少なくともそれまでは学生生活を続けないと。それを続けさせてくれる両親に感謝であるのですよ。
かくしてその日はあっという間に過ぎ去ってくのでした。
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