表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
46/63

46話目

全63話予定です


今回に限り「あゆみと瞳美」は曜日に関係なく毎日2話ずつ、18:00と18:10に投稿します(例外あり)

※特に告知していなければ毎日投稿です

 流石に何度も往復ってのはちょっとという事で、その日は近くのホテルをとった。


 確かに二年とちょっと、この日の為にバイトしては来たけれど、二百万円は流石に工面できない。まぁ、年間三万ちょっとは何とかなるとして、


「問題は手術だよなぁ」


 三人で同じ部屋で話をしてる時にそう言葉が漏れる。


「どうしたの? 手術は麻酔するから怖くないでしょ?」


 とお母さんに言われるものの、


「いや、怖いとかの話じゃあなくてね。こいつともおさらばか、と思うとちょっと感慨が深いというか、何というか」


 それ以上の言葉は紡がないでいた。それは目の前にいる母親を罵るのと同じだからね。それくらいは分かってるつもりだよ。


 で、初めの話になるんだけど、確かにあたしはバイトして来た。そりゃあお小遣いももらってはいたけど、それにしたって今ある貯金といえば百万いかないくらい。どうあがいても半分は最低でも足りないんだ。


 だけど、これはお母さんやお父さんに出してもらうわけにはいかない、と考えてる。それは[自分の性は自分で決める]って決めてるから。そこに両親のお金、というのがあたしには考えられないんだ。多分、お母さんは全額出すつもりでいるんだろうと思う。でもね、これだけは譲れないんだよ。


 そんな険しい顔をしていたんだろうね、お母さんが、


「お金は……」


 って言いかけたところで、

「お金についてですが、私が足りない分を出す、というのはどうでしょうか?」


 瞳美がそう切り出したんだ。


「えっ!?」


 二人して声が揃ったよ。だって瞳美はあたしの貯金の額も知らない筈なのに二百万円から、ですよ。ヘタしたら三百っていう可能性だってある。そんな手術に、他人とは言わないけど人の手術に自分のお金を出すなんて。


「それは……」


 としか言葉にならない。確かに援助は嬉しい。でも、でもね、それを本当に受け取っていいのかって。


 そんなあたしに、


「あゆみの問題は私の問題でもあるの。中学三年のあの日、私は貴方の秘密を知った。貴方も私の秘密を知ってる。そして一緒の高校に入学してバイトを探してる時に私が言った言葉、覚えてる? [何で?]って聞いた貴方に私は[今はまだ秘密。私も欲しいものがあるの]って言ったでしょ? 私はもうあの頃から貴方しか見て来なかったの」


 これは改めての告白だ。確かに今までの人生の中で数年間を一緒に過ごしただけかもしれないけど、もうあの時に将来像が見えていたんだね。あの時は漠然とあたしも付き合えたらいいな、とは思ったけど、まさか本当に瞳美がOKしてくれるなんて。


 頭が冴えてくる。今までは[どうしよう]という言葉で埋め尽くされていた頭の中がどんどん冴えてくる。冷めてくる、じゃあないよ、冴えてくるの。


 お母さんが隣にいるのを気にせずにあたしは瞳美に、


「あたしと結婚してくれませんか」


 そうハッキリと言った。場の時間が止まった、感じがした。誰も言葉を発さない。あたしは瞳美の顔を直視した。そこには少しだけ笑みを浮かべている彼女の顔があったんだ。


 そして瞳美は、


「私と、結婚してくれませんか」


 ハッキリとそう言ったんだよ。


全63話予定です



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ