37話目
全63話予定です
今回に限り「あゆみと瞳美」は曜日に関係なく毎日2話ずつ、18:00と18:10に投稿します(例外あり)
※特に告知していなければ毎日投稿です
じゃあ叫んで、
「たすけっ……!!」
事前に準備してたんだろうな、ハンカチを口に押し込められる。
両腕を掴まれて押し倒されてしまった。相手は男子学生、しかもあたしより年上、と来れば既に女性としての性が強いあたしに力技は出来ない。じゃあ股間でも一発蹴って、と思った頃には押し倒されていたからそれも出来ない。
[ヤバい、積んだかも]
そう心の声がする。
襲われるのはもちろん嫌だ。でも一番困るのは、あたしの[アレ]が露呈する事だ。それは股に手を入れれば直ぐにわかる。
[また転校か? 瞳美には何て言おう]
そんな考えが頭をよぎる。
相手は服の上から胸を揉んで来た。もちろん吐き気がするほど嫌だけど、まだ何とかなるかも、そう思って抵抗を続ける。
[瞳美、助けて]
心の底からそんな叫びをした。相手が胸だけで満足する訳がない。そして手があたしのお股に行こうとしたとき、
「何やってるんだ!!」
大人の声でそう叫ぶ声がした。その声にビビったんでしょう、手が離れる。が、それはこの状況を見れば一目瞭然。服が乱れたあたしと手を掴んでいた男子学生と。
「い、いや、これは、その」
というお決まりの文句を相手が垂れている間に、あたしは泣いた。
正確に言おう、泣いたふりをした。実際に涙も流した。その辺りの演技は出来るのですよ、ちょっと練習してたのもある。本当ならこんな事は起きてほしくはない。でもあたしは女性。手を出してくる輩がいないとも限らない。そしてこういうシチュエーションになる事態だって想定しておかないといけない。
普段は微笑みを絶やさないようにしてるけど、だからこそそんなあたしが泣けば決定的な証拠になる。
泣きながら口をオエっとしてわざとらしく突っ込まれたハンカチをその大人に見えるように吐き出した。
その大人、それは体育の先生だ。生徒指導もしている人だから話は早い。そんな人物を手配してくれたのが、そのすぐ後ろにいた瞳美ちゃんだ。良かった、あのメモに気が付いてくれたんだ。それくらいあたしは、いや、あたしたちは気を配って生活してるの。どんな状況になってもいいように。
「先生……」
ダメ押しをしておく。身体がフリーになったのを確認して先生のところに駆け寄る。って言っても数歩だけどね。
「とりあえず職員室まで来てもらおうか」
先生が男子生徒の腕を掴んで連れて行こうとする。
おぉ、流石大人、頼りがいがあるなんて、ちょっとだけ安心して心のゆとりが出たあたしはそんな事を考えてた。
階段のところには担任の先生も来ていた。流石瞳美ちゃん、ちゃんとおおごとにしてくれたんだね。
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