36話目
全63話予定です
今回に限り「あゆみと瞳美」は曜日に関係なく毎日2話ずつ、18:00と18:10に投稿します(例外あり)
※特に告知していなければ毎日投稿です
「あゆみさんに相談があるんだけど」
来ましたよ。これ系の話。
「その前に貴方は?」
と聞くと、どうやら先輩のよう。三年生だって。で、その三年生が、受験勉強まっさ中に、高校生活の思い出作りをしたくてあたしに相談してきた、と。
「で、誰なんですか?」
と聞けば、何と瞳美ちゃんではないですか。
これは……困ったぞ。そう思いながらとりあえず話を合わせながら相手の情報を引き出そうとする。
話では、どうやら前々から瞳美ちゃんの事が気になってたらしい。そして時々あたしが彼女と一緒に帰ってるところを見ていたようで、
「外れにあるコンビニでバイトしてるでしょ?」
と来た辺りからちょっと動悸がしてきた。
マズい、バレてないか、大丈夫か? そう問いかける自分がいた。流石に潜んで見られていてはあたしとしてもちょっとマズい。
だから、
「え、えぇ、働いてますけど。それが?」
と返してみる。落ち着け、あたし。まだバレたと決まった訳じゃあない。ここで変にボロが出る方が逆に命取りだ。
そんなあたしに気付かないのか、
「二人でバイトしてるのを見て、もしかしたら仲が良いんじゃあないかって」
お、おぉ、仲が良い、で済むのか、これ。
「はいその通りですが、もしかして彼女との間を取り持て、と?」
核心に迫ってみた。その答えは、
「そう、瞳美さんに声がかけたくて」
動揺しながら、ふと相手の顔を見る。こんな時にお父さんの言葉が脳裏をよぎる。[微笑みを絶やしてはならない、それは自分の盾になるのだから]と。
じゃあ、相手は今、どんな表情をしてどんな目をしてるのか。
相手は、微笑んでいた。それも嫌な微笑み方をして。とてもじゃあないが告白の相談には見えない態度だ。
そうだ、目は? そう思って相手の目を見る。目は口ほどにモノを言ってくれるんだな、これが。相手の目は、笑っていなかった。
[っていうか、確定じゃん。あたし、狙われたな]
そう思うだけの自信はあった。瞳美ちゃんの話はデコイで、本命はあたし狙い。もしかしたら二人とも狙っているのかも知れないが、今はどうでもいい。
「あ、あたしちょっと用事があるので失礼しま……」
そこまで言ったところで、
「逃がすと思った?」
微笑みから下衆な笑みに代わっていた。
途端にあたしは腕を握られてしまう。
[しまった]
逃げ道がない、どうしよう。
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