33話目
全63話予定です
今回に限り「あゆみと瞳美」は曜日に関係なく毎日2話ずつ、18:00と18:10に投稿します(例外あり)
※特に告知していなければ毎日投稿です
瞳美はお風呂に浸かって待っていたの。そしてこちらを見てる。あたしは前を隠して入ったんだけど、
「いいよ、見せてくれても」
そう言われては隠して置けるものではなくて。
もうね、お互いに言葉が出ないというか。でも、瞳美の表情に憐みが含まれてなかったからそれは救いかな。もしも憐れまれてしまったら、あたしは今の関係を続けていけただろうかって。それくらいの覚悟が必要だったんだ。だって、両親以外には見せた事ないんだよ、見られた事はあったけど。
「この現実と向き合ってたんだね」
そう言うと瞳美はカツラを取って脱衣所に置いて、
「これが私」
す、スタイルが良い! ってそうじゃあないか。
でも、
「綺麗」
思わず言葉が出る。そんなあたしに[ありがとう]って言ってから、
「よく見て」
そう言ってくる。そう言われれば見ちゃうんだけど、やっぱり綺麗だ。
「この綺麗っていう気持ちはあたしが言ってるのかな、それともこいつが言ってるのかな」
そんな、答えようのない質問、いや質問ですらないんだけど、そんな言葉が口を衝く。誰だってそんな質問に回答は出せないんだけど、
「それを含めて今のあゆみ、なんじゃあないかな。私は今のあゆみを否定するつもりはない。そして、時が来たら貴方は決断するはず。だけど、その決断がどんな形になったとしても私は受け入れるつもりよ」
そう言ってくれた。またちょっとだけ涙が出たよ。
瞳美に、
「ねぇ、こんなあたしでもギュッとして、いい?」
って聞いた。答えは向こうからやって来た。瞳美はあたしをギュッと抱きしめてくれた。もちろん隠すものは何もない。それでも抱擁してくれたのは、瞳美があたしを受け入れてくれたんだと思う。髪の毛が無い、だから何? ってあたしが思うように瞳美も[アレがついてる、だから何?]って言ってくれるんだと思った。
本当はずっとそうしていたいんだけど、そうも言ってられない。どちらともなく身体を離したら瞳美が、
「身体、洗ってあげようか?」
そのあとは、あたしが代わりに洗ってあげた。いわゆる流しっこ、というやつですよ。全身くまなく洗いっこした。そう、隠すところは何もない。ここまで来ると恥ずかしいというよりは嬉しい、かな。そんな気分。全身を優しく撫でるように泡で洗ってもらい、こちらも洗う。
もちろん、変な気は起こしたりしてませんよ。ちょっとだけ起こしそうになったり、なられたりはしたけど、それはまだ先の話。
こういうのってプロセスが重要なんだ、と思う。
例えば付き合ったその日にラブホ行って、なんてのは確かに今どきなのかも知れないけど、それって別れるのも一瞬だったりする。あたしたちはそうじゃあない。だから一歩ずつ、まるで階段を一段ずつ昇るようにお互いの気持ちを確かめながら少しずつ関係を深めていく。あたしはそのつもりだし、瞳美も多分そういうタイプ。
だから、今日のところはこれくらいで。
そのあとは、一緒に湯船に浸かってやっぱり話をした。どうでもいい話も、どうでもよくない話も、ね。上がる時は二人して上がったよ。気持ちよかったなぁ。そしてやっぱりいい匂いがする。もうね、アロマの気分ですよ。思わずまたギュッとする。瞳美も嬉しそうにしているからいいっか、と思ってみたり。
そんな一日を満喫して、寝る時はまた一緒のベットですよ。もう最高。直ぐに眠っちゃったよ。
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