31話目
全63話予定です
今回に限り「あゆみと瞳美」は曜日に関係なく毎日2話ずつ、18:00と18:10に投稿します(例外あり)
※特に告知していなければ毎日投稿です
一通り屋台も回って、打ち上げ花火も満喫して祭りも終了の時間になって来た。こういうのって、花火が終わると大体[終わりだぁ]ってなるよね。
人の流れに沿いながら自分たちの家の方角に出てくる。片手は瞳美をずっと握ってた。もう片手には食べかけのリンゴ飴。
瞳美も、屋台で買った食べ物を袋に下げて持ってる。食べなかったのはお腹が一杯なんじゃあない、多分だけど自宅で、もう少しだけ満喫する為だろうな、って思ってみたり。
しばらくは人が一杯だったけどそれも水の流れのように四散していって、気が付けばあたしンち方面はまばらになった。
そこでようやく手を離す。
「痛かった? ゴメンね」
そういやずっと握ってたなぁ、握力は人並みくらいだけど痛かっただろう。と、ちょっと反省したりもしたよ。
そんなあたしに、
「ううん、こちらこそありがとう。お陰で迷わずにいられた。それに打ち上げ花火、近くで見るとあんなに迫力あるものなのね、感動したわ」
うーん、まんざらでもなさそう。
「良かった、喜んでくれて。また来年も来ようね」
そんな言質を取ろうとする自分は、さっきからずっとある事を考えてた。
瞳美ももしかしたら同じなのかも。いや、自分がそう思ってるだけなのか? だとしたら今までの彼女の行動には説明がつかない。
そんな事を考えても堂々巡りだ。これはひとつ。
「ねぇ、瞳美」
そう声をかける。瞳美は、
「どうしたのあゆみ」
って当然返してくる、その耳元に顔を近づけて、
「あたしたち、恋人って事で良いんだよね」
と小声で声をかけてみる。
もうそこはあたしンちの直ぐ近く、人も周りにはいない。そんな状況をそれとなく確認して敢えて聞いてみる。
瞳美は、あたしの事を両手でギュッとしてくれた。あたしは片手ふさがってるけど、それでももう片方の手でギュッと抱きしめる。
「言葉が、必要?」
そう言われた。この前以来だ、胸が高鳴る。どう返すのが正解なのか、ってそんな事を考える。素直に行っとけ、自分。
「言葉にしてくれると、嬉しいな。言葉で伝わる気持ちも大切だろうから」
やっとそう言えた。そんな言葉を発する器官を瞳美の唇が塞ぐ。本当にあたしたち、女の子だよね、こんな風にさせてるのはもしかして男のあたしが操ってるのか? って疑いたくなるくらい。
だけどやっぱりこの気持ちは本物だと思うんだ。
だから、
「貴方が好きよ、付き合ってくれる?」
と言われた時に、
「その言葉を待ってた。あたしと、付き合ってくれるかな」
そう返すと、また互いにギュッと抱きしめてた。それが答えでもあるんだ。あたしはとても嬉しいよ。そして瞳美も嬉しそうだった。
二人とも涙を流してたんだ。この涙は本物だ、そう感じていた。
そこまで来ればもう言葉は要らない。しばらくの間二人で抱きしめ合っていた。暑さは不思議と感じなかったのは、それどころではなかったせいかも知れない。
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