30話目
全63話予定です
今回に限り「あゆみと瞳美」は曜日に関係なく毎日2話ずつ、18:00と18:10に投稿します(例外あり)
※特に告知していなければ毎日投稿です
夏祭りはとても賑やかだ。祭り離れが叫ばれているが、そうは言っても分母が違う。確かに若い人を中心に[祭りなんて古い]みたいな流れがあるのは知ってる。だけど協力して何かをやるってのは重要なものだと思うけどなぁ。あ、あたしも若者ですよ、一応ね。
瞳美はあたしにちゃんとくっついて歩いてる。そうそう、そうやってちゃんと見失わずに来てくださいとばかりにゆっくりと歩く。場所によっては人だかりが出来てるからその辺りは慎重に、ね。
「気分とか大丈夫?」
とちょっと声をかけてみる。
「え、ええ、大丈夫。ちょっと人ごみに慣れてないから」
うーんフラフラしてるな。ちょっと、
「そこで飲み物でも買って休もうか」
今までイベントに出てこなかった人に、イキナリ人ごみはハードでしたかね。
屋台でジュースを二人分買って瞳美のところに近づいていく。良いところに空きスペースがあってよかったよ。そこでしゃがんでる瞳美に、
「はい、これ。とりあえず休もっ」
そう言ってジュースを差し出す。
九月とはいえ昔で言うところの八月並みに暑い日々が続いている。だから当たり前のように喉も乾くのですよ。
「ありがとう、御免なさい」
そう言って瞳美はジュースを受け取って口にする。おぉ、結構飲むなぁ、余程喉が渇いてたんだろうね。
それでも一息付けたのが大きいのか、
「落ち着いたわ、ありがとう」
って言ったあとに、
「こんなに混むものなのね、初めてきたから勝手が分からなくて」
確かにイベント事って人が集まるからね、ってあたしが言ったら、
「そうね、貴方と一緒じゃあなかったら私、多分来てなかったかも」
と言われた。それはそれで嬉しいのですよ、エスコートする側としては。
一息入れたから屋台を回ろうって話になって、イロイロと見て回ったよ。イカの丸焼きとかリンゴ飴なんて定番も買ったり。
そして川の近くで祭りをやる理由の一つが、
[ドーン]
「ほら、始まったよ」
そう、打ち上げ花火。定番だよね。確かに周りに人は多いけど、良いところで花火が見られてよかった。
花火はポンポンと上がっていく。それを首が痛くなるくらい見上げて楽しんだ。瞳美も楽しそう。いつもはそんなに表情に出さないけど、二人だけでいるってのもあるんだろうな、表情豊かだ。
時間が流れるのが分かるくらい早い。一瞬一瞬はとてもゆっくりなんだけど、気が付けば一時間平気で経ってる、そんな感じ。それを肌で感じながら、二人で来られて本当に良かった、あたしはそう思ったんだ。
瞳美は、いや彼女もそうだろう。だって笑顔だもん。ここ最近では一番の笑顔かも。そんな笑顔がとても愛らしく感じる。
この感情はもしかしてやっぱり……。
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