表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/63

29話目

全63話予定です


今回に限り「あゆみと瞳美」は曜日に関係なく毎日2話ずつ、18:00と18:10に投稿します(例外あり)

※特に告知していなければ毎日投稿です

 それから二週間。学校の方は何事もなく、バイトも順調に進めていた。


「そう言えば、夏祭りは行くのかい? シフトから二人とも外れてるけど」


 シフト明けで次に入る店長さんがそう話しかけてくる。すみませんねぇ、その穴埋めも店長さんなんですよ。


 そんな店長さんに、


「スミマセン、二人でお休み貰っちゃって。ちょっとひと夏の思い出にって思いまして」


 とあたしが頭を下げると[いや、いいや、良いんだよ]と手を振りながら、


「学生の特権さ、楽しんでおいでよ」


 笑顔で店長さんにそう言われるとちょっと後ろめたいが、


「はい、そうします。ご迷惑をおかけします」


 というやり取りが昨日の話。


 そして今日。


 学校も祭りがあるというので授業も早めに終わった。先生の[あまり羽目を外すなよ]という台詞を背中で聞きながら、二人して学校をあとにして家へと帰る。瞳美には着替え次第ウチによってもらう手はずになってる。夏祭りは川沿いのところで主に行われるんだけど、その会場がウチの方が近いんだ。だから待ち合わせはウチでって事になった。


 浴衣をお母さんに手伝ってもらいながら着て帯を締める。


 姿見を見て、


[おぉ、さまになってるじゃん。ちょっと美人だぞ、あたし]


 なんて思ったりしてね。そんな事をしながら、手持ちの巾着とかを用意してると[ピンポーン]と音が鳴る。


 お母さんが[はいはーい]と出ると、そこには浴衣姿の黒髪美人がたたずんでいた。


「似合うじゃない」


 思わずお母さんと二人でハモる。そのくらいの美人さんなのですよ、元々。どれくらいってちょっと周りが心配なくらい。


 だからあたしがエスコートしなくっちゃ。


「行こっ」


 そう言って手をとりながら外に出る。周りを見れば、チラホラそんな格好の人たちが同じ方向を目指して歩いてる。ウチの学校はやってたけど、学校によっては休みのところもあるくらいなの。


 日本人だもん、お祭りは好きだよ。この姿になってからはやっと楽しんで来られるようになった。もちろんお父さん、お母さんにはいつも笑顔で接するようにしてる。そう言えば、お父さんの言った言葉[笑みは、微笑みは笑ってるのと違う、自分を守る盾なんだ]ってその通りだと思う。イヤな事があっても笑みを浮かべていれば相手には伝わらない。


 心の中だけで泣くことも出来るんだ。そうやって今まで生きてきたよ。だけどね、今は違うんだ、今は泣いても顔をうずめさせてくれる相手がいる。もちろん相手が泣けば受け止める事だって出来る。


 それがとても嬉しいんだ。だからこの関係がずっと続けばいい、そういう風に感じてる。その相手、つまり瞳美も同じように思ってくれてる、と信じたい。


 多分ね、同じように感じてくれていると思う。それは言葉で伝えなくても分かるよ。唇は言葉を紡ぐものだけど、言葉以外を伝える為の手段でもあるんだ、なんて哲学的な事を言ってみたり。


「ほら、行くわよ」


 そうだった、それじゃあ行ってきます。


全63話予定です



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ