27話目
全63話予定です
今回に限り「あゆみと瞳美」は曜日に関係なく毎日2話ずつ、18:00と18:10に投稿します(例外あり)
※特に告知していなければ毎日投稿です
結局、例の男の子には[今は付き合うとか、そういうの考えられないです、御免なさい]って言って断ったらしい。相手は[そうか……]とは言っていたらしいが、流石に後ろ髪惹かれるような表情だったらしい。
そんな話を当の本人である瞳美ちゃんから聞いた。
そしてあたしたちは、と言えば相も変わらず学校ではちゃん付け、プライベートでは呼び捨てっていうルールを守って生活してる。
何度も何度も出て来てるけど、あたしたちには秘密があるんだ。それは絶対に知られちゃあいけないものなの。瞳美ちゃんはそれを分かってるし、あたしだって身に染みて分かってる。だから友達との会話も言葉を選ぶし、体育の授業はあたしは病弱って事で通してる。瞳美ちゃんは体育、ちゃんと出てるよ。
ただ、どうしても体育をやると頭がムレるみたいで、お手洗いに行ったときにこっそりと頭を拭いてるんだって。そんな話も二人の時にしてくれた。
そして時間は段々と、嫌がおうにも毎日は過ぎていく。気が付けばもう九月だ。
九月、と言えば、そうお祭り。あたしたちの街でも夏祭りは行われる。ただ、近年の暑さを加味してなんだろうね、八月だった祭りは九月の半ばへと変更になった。
だからかも知れないけど、この祭りが終わると、そろそろ秋かなぁって感じ始める。そうやって季節はうつろいで行くのですよ。
そんな、祭りまであと二週間という時に、二人でコンビニバイトから帰るその道すがらで、その祭りの話が出たんだ。
「あゆみは誰かと祭り、行ったりしないの?」
まぁ、確かに瞳美よりは友達関係は多いと思うけど、それは言わなくても、ねぇ。
でも言葉は言葉にしないと伝わらない時の方が多い。まぁ、隠すつもりもないし。
「そういう瞳美は?」
と返してみる。瞳美は顎に手をやり[うーん]と唸ってから、
「いない、かな」
と答えた。
な、の、で、
「どうせならあたしと一緒に行かない? 浴衣、とか」
似合いそうだよなぁ、浴衣。瞳美は黒髪の美形ですよ、そんな子が浴衣を着て、髪をまとめてうなじを見せてって、なんかおやじクサいなぁ。でも、絶対に似合うと思うのですよ。
そんな鼻をフンフン言わせてるあたしを見て瞳美はクスッと微笑んで、
「いいよ、あゆみと一緒に行く。ううん、行きたいの」
あえてそう訂正してくる。それだけあたしたちの関係は深まったんだと思う。自負もある。だからこうして形に残そうかなって。
ひと夏の思い出、良いじゃあないですか。え、やっぱりおやじクサい?
「良いと思うよ、思い出作りって大切だと思う。人間、やっぱり何かエピソードが無いと生活に張りが無くなるんだなぁって思って」
そんな言葉が瞳美から出てくる。
「エピソード? 張り? どうしたの?」
うーん、よく分からない。瞳美とこういう関係になったのって最近だし。
そんなあたしを見たのか、
「じゃあ、エピソードを一つ」
瞳美はそう言って話し始めた。
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