26話目
全63話予定です
今回に限り「あゆみと瞳美」は曜日に関係なく毎日2話ずつ、18:00と18:10に投稿します(例外あり)
※特に告知していなければ毎日投稿です
日配の一便が来て、品出しの時間が始まる。これが始まるとほぼほぼ今日の勤務時間は終わり、そんな時間なんだ。
さっきも言ったけど、検品と品出しはあたしがやった。それくらいには仕事にも慣れたつもりだし。何よりも今のままで何か考え事をしながら仕事するのは危険だと思うの。かといって早退って訳にもいかない。流石に夜の十一時近くに店員は女子高校生ひとりだけってのはちょっとね。
だから、
「今日の仕事はあたしに任せて、瞳美はよく考えてみたら?」
別に突き放してる訳じゃあないよ。それが一番だと思うの。だって最後は自分の問題なんだから、自分がやりたいルートは自分で設定しないといけない。こればっかりはいくら友達でも[あーしたほうか、こーしたほうが]なんて言うもんじゃあない。そんな気がするんだ。
だいぶ悩んでたみたい。本当にバックルームから出てこなかった。でもね、そのくらい真剣に考えないと。
それはバイトが終わって、着替えてる時もずっとそうだ。悩んでるのは見ていれば分かる。だから次に入る店長に、
「おっ、お疲れ様」
って言われた時も、
「お疲れ様です」
そうあたしは直ぐに返せたけど、瞳美はちょっとだけ返事が遅れた。だけど、それはほんの一瞬の事。すぐに、
「お疲れ様です、店長」
って答えてた。
そこから二人で一緒に帰るのがいつものパターンなんだ。何たって今は夜の十一時ですよ。我ながらよく許可が降りたなぁって。ウチは[好きにしなさい]の一言で終わったんだけど、瞳美の家はやっぱりちょっと揉めたみたい。でも最終的に[あゆみちゃんと帰りが一緒なら]って条件で許してもらえたみたい。まぁ、ご両親が留守がちな家だからね、強く反対されないのはそれもあるんじゃあないかな。
しばらく無言で一緒に帰る。
向こうはずっと顎に手をやって考え事をしている。きっと色々なパターンをシミュレーションしてるんだろうなってのは、流石にこれだけ付き合いが長いから分かる。実際、瞳美はそれくらい頭が回る女の子だし。
人の気配はまったくしない。そりゃあそんな時間ですもの。住宅街の家々は明かりがついてる。そんな中、二人で帰るこの時間がどれだけあたしの大切な時間か。何気ない会話や、何気ない相手の仕草にどれだけ一喜一憂する。こんな時間がずっと続けばいい、いつだってそう思うの。学校ではただの友達のフリをして、二人の時は親友の……。
あれ? これってもしかして、あたしも人の事言えなくないか? あたしってば、瞳美に……。
「ねぇ、瞳美」
視線を合わせようとそう声をかける。瞳美は、既にこっちを見ていた。多分、答えが出たんだと思う。
「ねぇ、あゆみ」
二人とも視線はそらさない。いつにもなく真顔だ。
二人の距離がだんだん近くなる。顔と顔の距離が数センチになった時、お互いに少しだけ顔を傾けて。
気が付けばキスをしていた。今までも二回、キスはしてる。だけど、このキスには別の意味がある、と思う。キスをしながら抱き合う。ここが布団の中ならもっと良いんだろうけど、今はそんなのどうでもいい。多分、人が見ていても同じ事をしただろう。
しばらくそうしていたけど、どちらともなく唇を離して、
「瞳美の事が好きよ」
「あゆみの事が好きよ」
気が付けば二人同時にそう言ってた。
そう、あたしたちは友達以上の存在になったんだと、この時に強く感じたんだ。
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