21話目
全63話予定です
今回に限り「あゆみと瞳美」は曜日に関係なく毎日2話ずつ、18:00と18:10に投稿します(例外あり)
※特に告知していなければ毎日投稿です
それからの時間はあっという間に過ぎていった。模試と自主勉強の繰り返しで、正直頭が一杯だった。だって絶対合格という目標が出来たんだから。目標であって枷ではないですよ、念の為。瞳美ちゃんは、と言えば流石は役者とでもいうのか、次の日からいつも通りの彼女に戻っていた。薄いベールを身にまとって、その中には絶対に誰も入れさせない、そんなオーラともいえる雰囲気があったの。
だからあたしもそれに合わせた。
もちろん用事で呼ぶときはちゃん付けだし、向こうもそれは変わらない。それでも凄いなぁと思うのはその眼つきかな。冷たい訳でも睨んでる訳でもない、ひょうひょうとした眼力とでも言うのか、雰囲気を絶対に悟らせないって決意のようなものが見えたのですよ。
まぁ、この時期になれば誰某がどうのとかいう話も出て来なくなって。あ、一人だけクラスの子に告った男子がいたな、振られたけど。
変わった事と言えばそのくらいで、本当にあのお泊りの日は現実なのか? ってくらいいつも通りに過ごした。
変わったのは帰りが一緒になるとちょくちょく遊びに行ったりした点かも。遊びにも行ったしウチにも来てもらった。もちろん互いの両親と話をしたよ。秘密は秘密、その辺りは二人ともわきまえてる。だからお泊りの時は別に布団を用意してくれた。
うん、分かってる。でもね、あの香りとも呼べる落ち着ける匂いを知ってしまうと離れられんのですよ。
どちらの両親だってノックも無しに部屋に入っては来ない。だからお泊りの時は寝るギリギリまで一緒の布団で抱き合った。変な事はしてないよ、ただ抱きしめていただけ。それがあたしにとってはとても至福の時なんだ。
試しに、
「いい匂いだよね、瞳美」
って言ったら、
「あゆみこそ、袋に詰めて持ち歩きたいくらい」
だって。
そんなプライベートな時間を過ごせるようになったから、いつもの教室での瞳美ちゃんに迷惑かけないようにってあたしも普段通りの会話に徹していた。
それがいい目として出たんだろうね、それから特に何もなく入学試験までこぎつけた。
結果は、二人とも合格! これも瞳美ちゃんのお陰かな、なんて思ったりもしてる。折れそうになっても[彼女がいるから]って頑張れたの。
だからかも知れない。合格発表があって、合格を知ってそれぞれの家でそれぞれの祝い方をして、そのあと瞳美ちゃんの家に遊びに行ったとき、
「お祝いしないとね」
っていう瞳美の言葉にあたし、
「ねぇ、お願いがあるんだけど、その、キ、キス、とかしてくれないか……」
どもりながら多分顔を真っ赤にしながら言った最後の言葉に被せて瞳美、キスしてくれた。
頼んでおいていうのも変だけど、とても不思議な気分だったのを覚えてる。女性同士なのにカップルみたいな? でもそんじょそこらのカップルには負けません。だって互いに秘密を持ち合う仲ですもの。
瞳美、泣いてたよ。あたしも泣いた。何でだろう、気持ちが高ぶったんだろうね、溜め込んでたものが形になった、そんな瞬間だった。
そして今の高校生活がある訳なんですよ。
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