1話
僕と先輩の関係はあの日から始まった
夕飯の材料を買って帰ろうとスーパーを出た時、
「いいじゃん、ちょっとくらい遊ぼうぜ、俺たちが
夜奢ってあげるからさ」
「結構です」
「そう言わずにさ」
「嫌です」
女性を男3人がナンパしているところに遭遇した、
気にせず帰ろうとしたが、
「いいから、来いって言ってんだろうが」
「痛い」
男の1人が女性の腕を強引に掴んで連れて
行こうとしたので、
「あの、嫌がってるのでやめましょうよ、
これ以上やるなら警察呼びますよ」
「ち、鬱陶しい、行こうぜ」
「あの、大丈夫でしたか?」
そう言って女性の顔を見るとそこにいたのは
学校一の美少女で完璧でクールな西宮先輩だった
「え、あ、み、水瀬くん?」
「はい、僕の名前覚えてるんですね」
「当たり前よ」
「当たり前ではないと思いますが、僕も全員の名前を
覚えてるわけではないので」
「それはいいとして、助けてくれてありがとう」
「お気になさらず、では、僕こっちなのでさような
ら」
「さ、さようなら……あ、私の夜ご飯が」
その声に振り返ると、先ほど強引に腕を掴まれた時に
落としたのだろう、先輩のお弁当はぐちゃぐちゃで
食べれなくなっていた
「最後の一個だったのに」
少し泣きそうな声で呟いて、僕の方を見て
「ち、違うの、いつもはちゃんと料理してるの、
今日は、えっと、そう、たまたまお弁当の気分だった
の、け、決して料理ができないわけじゃないから」
そう言って先輩が涙目になりながら訴えてきたので、
(学校ではクールな先輩も慌てるとこんな感じに
なるんだなぁ)なんて思いながら、
「わかりましたから、それよりご飯ないならうちで
食べますか?」
無意識のうちに先輩をご飯に誘っていた