13話
「先輩、泊まってくださいって言ったのは僕なんです
けど、その、着替えとかってどうしますか?」
「確かにどうしよう」
先輩は泣いていたが頭を撫でていると泣き止んで今は
落ち着いている
「服はジャージとかを貸すことはできるんですけど、
下着とか」
「下着とかは今から買いに行けばいいかな、コンビニ
に売ってるから」
「わかりました」
「で、でも、コンビニには一緒に着いてきてね、怖い
から」
「もちろん、先輩を1人にはしませんよ」
「……あ、ありがとう」
(あれ?もしかして俺、今めっちゃ恥ずいかと言ってな
い?)
体から熱くなるのを誤魔化すために
「なら今のうちに買いに行きましょうか、このあとま
た強くなりますから」
「わかった」
先輩は今風呂に入っている、そして俺は風呂場の外で
座っている。
なんでそんなとこにいるのかって、そりゃあんな風に
言われたら断れるわけがないからだ。
時間はコンビニから帰ってきた時に遡る
「先輩濡れちゃってますし先に風呂入ってください」
「先に入っちゃっていいの?」
先輩はコンビニからの帰り、雷の音に驚いて少し濡れ
てしまっているのだ
「はい、風邪ひいちゃうかも知らないので早めに入っ
てください」
「な、なら、近くにいて」
「え?」
「だ、だって、雷怖いし、お風呂入ってる時に雷がな
ったら、私死んじゃう」
「で、でも」
「ダメ?」
先輩が上目遣いで涙目で見てきた、そんな目で頼まれ
たら答えはもちろん
「わかりました、近くに居ます」
「ありがとう」
そういうことで、俺は今風呂場の近くにいるわけだ
が、音が気になって仕方ない、仕方ないだろ、俺だっ
て完全な高校生で思春期真っ只中なんだ、そんな中で
可愛い先輩が自分のすぐ近くで風呂に入っていている
んだ、気にならないわけがない
「水瀬くんいる?」
「いますよ」
「ごめんね、迷惑ばっかりかけて」
「迷惑?」
「うん、今日のことだけじゃない、いつもはご飯も作
ってもらってるし、今日はいろんなことで迷惑かけた
し、それに---」
「僕は迷惑だなんて思っていませんよ、逆に感謝して
ます」
俺は先輩の言葉を遮るように言った
「感謝?私は感謝されるようなことなんて何もしてな
いし、迷惑をかけることばっかりだよ」
「そんなことありませんよ、まず僕は先輩にご飯を作
ることを迷惑だと思っていません、先輩はいつも僕の
ご飯を美味しいと言ってくれます、それはたとえお世
辞であっても僕は嬉しいんです、それに一緒にご飯を
食べてくれるだけでも嬉しいんです、1人でご飯を食べ
るのは慣れてもやっぱり寂しいですから、ですから先
輩は迷惑なんてかけていません、僕は先輩といる時間
が楽しいんです」
「そうなの?」
「はい、だから迷惑かけてるなんて思わなくていいん
です」
「水瀬くん、ありがとう」
そう言った先輩の顔は見えなかったが笑っていたと思
う。
先輩が風呂から上がったあと、今度は自分が風呂に入
っているわけだが、先輩の残り湯だと思うと、なんだ
か先輩に申し訳なかったので湯船には浸からず早めに
上がることにした、まぁそんなことを考えてる時点で
いけないのだが、そこは見逃して欲しい。
「お風呂上がりました」
「はーい、って水瀬くんちゃんとドライヤーした?」
「自然乾燥で大丈夫ですよ」
「ダメよ、ちゃんと乾かさないと」
「めんどくさいんですよ」
「ダメです、そこに座ってて」
「?」
わけがわからないまま座っていると、先輩がドライヤ
ーを持ってやってきた
「髪乾かしてあげる、私がしてあげられることなんて
こんなことくらいしかないから」
「ありがとうございます」
そう言って僕の髪を乾かし出す
「熱かったりしない、大丈夫?」
「はい、大丈夫です」
「水瀬くんの髪ってサラサラ」
「先輩ほどじゃないと思いますよ」
先輩の髪は触ったことがないが多分すごくサラサラな
んだろう
「触ってみる?」
「いいんですか?」
「いいよ」
「じゃあ、髪を乾かしてもらい終わったら、触らせて
もらいます」
「ん、って言ってももう終わったよ」
「ありがとうございます」
「ではどうぞ」
そう言って先輩は頭を近づけてきた、
「失礼します、おー、すっごいサラサラ、いつもすご
く丁寧に手入れしてるんじゃないですか?」
「うん、手入れは丁寧にやってるよ」
「いいんですか、僕なんかに触らせて」
「普段はあんまり触って欲しくはないかな、でも水瀬
くんならいつでも触ってくれていいよ」
「あ、ありがとうございます?」
「ふふふ、あ、もうこんなに遅い時間だったのね、」
「そろそろ寝ますか?」
「そうする」
そう言って先輩はソファに寝転がった
「先輩そこでねるんですか?」
「え、ここ以外どこで寝るの?水瀬くんは自分の部屋
で寝るから私はここで寝るんじゃないの?」
「先輩用のベッドもありますよ」
「え、そうなの?」
「はい」
そう言って先輩を部屋まで案内した
「ここ?」
「はい、このベッドを使ってください」
「水瀬くんのじゃないの?」
「これはおばあちゃんのですね、綺麗にしてるので汚
れてはないと思いますよ」
「なら、ありがたく使わせてもらうね」
「はい」
「水瀬くんも、寝るの」
「はい、もう少ししたら寝ます、では失礼します」
「まって、もう少しだけお話ししててもいい?」
「いいですよ」
「ありがとう」
「あのね、今日は、ありがとね、私さっき水瀬くんが
さっき言ってくれたこと嬉しかった、ずっと迷惑ばっ
かりかけてると思ってたから、楽しいって言ってくれ
て嬉しかった、だからありがとう」
「こちらこそありがとうございます」
「これを伝えたかったの、ありがとう、おやすみなさ
い」
「おやすみなさい」
そう言って俺も、自分の部屋に行った
稜が出て行ったあと
今日は楽しかった、映画の作戦は失敗にしたけど、そ
れによって頭を撫でてもらえたからむしろ大成功と言
ってもいい、雷は怖かったなぁ、怖すぎて身体が動か
なくなっちゃったし、その後の水瀬くんは優しかっ
た、それに1人にはしないってカッコ良すぎるよ〜、
それと、迷惑だなんて思ってないって言ってくれて、
一緒にいると楽しいって言ってもらえたのは、嬉しか
った、嬉しすぎて涙が出てきちゃった、あとは、お風
呂上がりの水瀬くん、破壊力抜群、カッコ良すぎる、
髪を乾かすっていう建前に髪も触れちゃった、
今日はわたしにとって、きっと忘れなれない日になる
だろうなぁ
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