88.勇者さん達との共闘③
妹による、
「おんけい!」
からの、
「デストロイ!!」
にて、
ブシャアーッ!
と、今度は左太腿を斬りました。
更に、
「ライト・ボール!!」
琴音が、新たな傷口に【光の玉】を命中させたのです。
流石は、本家本元。
“塩を塗るかのような行為”が絶好調であります。
そこには、一切の躊躇も容赦もありません。
なんと、まぁ、逞しく育っていってる事でしょう。
姉は秘かに心の中で拍手しております。
ある意味、リスペクトしちゃいそうです。
このような状況で、
「グオーッ!」
トロルが、モーニングスターを、横に払ってきました。
ブォンッ!!
「おっと!」
妹がバックステップで、
「危なッ!」
私が、しゃがんで、躱したところ、勢い余ったらしく、
ズドォンッ!!
うつ伏せで倒れたのです。
(“おバカさん”なのかな?)
疑問が生じた私ではありますが、〝ファンタジーやRPGの設定において、トロルは知能が低いことが多い〟との話しを思い出しました。
“エ○ン・イ○―ガー”たちの世界に現れる[無○の巨人]を連想していたら、
「グッ、ウゥ~ッ!」
トロルが、上体を起こしつつ、私達を睨んできたのです。
改めて、
「せん光!!」
琴音が発動しました。
(チャンス!)
一気に、間合いに踏み込んだ私は、
「デストロォーイッ!!」
ズブシュッ!
再び、心臓を突いたのです。
先程よりはラージソードが深めに刺さったようで、
「ガアア――ッ!!!!」
喚いた相手が、粒子になって消滅していき、装備品と、2gの“銀子”が、遺されました。
[ファ―ストステージ]におけるモブキャラの銀子は“1g”だったので、二倍の大きさになっています。
「ふぅー。」
一仕事終えて息を吐いた私が、4人組さんの方を見てみたところ、あれから更に、敵集団の二割を倒していたみたいです。
「残りを片付けるよ、琴音。」
あとの6割を葬るべく、勇者さん達に加勢しようと促した私に、
「うん!」
妹が同意しました。
「デストロイ!!」
「ライト・ボール!!」
四人とのバトルに専念しているエネミーらの背後を急襲します。
ええ、ええ、“悪者”ですよ。
二人揃って。
……、否!
“頭脳的戦略”です!!
そういうことに、させてください。
さて…。
人外たちが、こちらを振り向きました。
すかさず、4人組さんが、打撃・スキル・魔法などを、繰り出していきます。
“勇者と仲間達”ですら、後ろから攻めているので、私と琴音が特に卑怯なわけではない事が証明されたと言えるでしょう!
もはや、勝った方が正義を語れるのです!!
すみません。
こじつけました。
正直なところ、誰もが、明日をも知れぬ身であるがため、必死なのです。
この世界を生き抜くために―。




