8.てんやわんやの最神さん家
畳敷きの広間にて、父の弟である叔父さんが、
「タイムループとかいうやつだろ?それって。」
「俄かには信じられんが、嘘を吐いているとも思えないし…。」
「うーん」と唸りながら腕を組んで目を閉じました。
「ま、難しい事はこの際いいんじゃない?」
「話しによれば、一回目の私たちは全滅しちゃったけど、今回は琴晴ちゃんのお陰で助かったんだし。」
笑顔で述べたのは、叔母(次女)さんの娘であり、14歳の葵月ちゃんです。
春休みが明ければ中3になる彼女は、身長が157㎝くらいで、髪の毛をボブにしています。
割と楽観的な性格である葵月ちゃんには、兄と妹がいるのですが、そこら辺は機会があった際に紹介しましょう。
我が弟の利勇が口を尖らせながら、
「にしても、姉ちゃんだけズリィよなぁ~。」
「そのブレスレットで戦えるジョブに変更できたんだろう?」
「俺なんて“大道芸人”だぜ。」
「いや、本職の人たちを否定するつもりはねぇよ。」
「でもさぁ~、これって戦闘に向いてないだろー。」
「速攻で詰むビジョンしか見えねぇ…。」
と、愚痴りました。
これをきっかけに、親戚一同が、
「俺は、確か、“錬金術師”になっていたな。」
「私は、“裁縫師”だったわ。」
「僕は、“復元士”。」
「こっちは、“アイテム士”よ。」
などなど、〝ワイワイガヤガヤ〟盛り上がっていったのです。
そんな状況下で、私の母が、
「あ!」
「お寿司…、どうしましょ?」
「流石に配達は無理よねぇ??」
「世の中が、こんな事になってしまっているんですから…。」
と困った表情になります。
母は沖縄出身だからでしょうか?
それなりにズレています。
決して悪い意味ではありません。
おおらかなタイプの癒し系なので、周りは割と救われるのです。
特に緊張が走る場面とかで〝ほっこり〟させてくれます。
そんな母に、父が、
「んー、電話してみたらどうだろう?」
「琴晴みたいな力を得て、生き延びているかもしれないしな。」
と、提案しました。
今度は、この言葉に、叔父さんや叔母さん達が、
「そうだわ、実家に連絡してみましょう、誰も亡くなってなければ良いんだけど…。」
「明日、仕事なんだけど、会社は大丈夫なのかな?」
「それよりも、この様子じゃ家まで帰れそうにないわね。」
「やっぱり外にも居るんだろうなぁ、さっきみたいな奴らが。」
と慌ただしくなったのです。
私どもの祖母による、
「みぃ~んな、泊っていけばいい。」
との提案に、祖父が、
「そうするのが一番だろうな。」
〝うん うん〟と頷きました。
「でも…、自宅が壊されたり荒らされていたりしないか心配だわぁ。」
と、父の妹である長女さんが少なからず不安げになります。
「じゃあ…。」
〝スック!〟と立ち上がった私は、
「一軒一軒、チェックしてくるよ。」
「連中が好き勝手やっていたら倒すし、結界も張っておく。」
そう告げたのでした―。