74.地元でのバトル⑥
紗凪さん達が私服から装備を変更しました。
紗凪さんは、紫色の武道着と、薄鉄の胸当て/肘当て/籠手/腰回り/膝当て/脛当てになっています。
真守さんは、緑色のフード付きローブで、薄鉄の胸当て/籠手/脛当てです。
穂積さんは、黒装束に、薄鉄の胸当て/肩当て/籠手/脛当てとなりました。
「どうしたんですか?! それ。」
驚く私に、
「ん??」
「知らなかった?」
「琴晴ちゃんの、お父さんと、お母さんが、作ってくれたのよ。」
「〝娘が何かと、お世話になった、お礼に〟ってね。」
紗凪さんが説明します。
「昨夜、受け取ったんだけど、いい出来だよ。」
真守さんが微笑み、
「ああ、確かにな。」
穂積さんが頷いたのです。
「へぇー。」
私が縁側に視線を送ってみたら、家族が集まっていました。
なんだかんだと、琴音のことが心配なのでしょう…。
AM09:00になりました。
「涼音、“恩恵”を。」
私の指示に、
「うん。」
と、妹が従い、発動します。
「来たよ。」
真守さんに言われて、辺りを見回してみたところ、南の正面門からは、ドーベルマンと鎌鼬が4匹ずつ、侵入してきました。
「獣系には、“閃光”が、そこまで有効ではないので、お任せしてもいいですか?」
「琴音は、まだ、不慣れなので。」
私のお願いを、
「OK。」
承諾してくださった紗凪さんが、
「それじゃあ、いこう!」
二人に“GOサイン”を出します。
北からは8体の仏が、西からは6人の天使が、塀を越えて来ました。
「落ち着いて。」
「もう少し引き付けるよ。」
こちらの指示に、
「分かった。」
琴音が返します。
天使と仏の半数が、互いを認識するなり、殺し合いを開始しました。
それ以外は、私たち姉妹に向かってきております。
「今だよ!」
私の言葉に反応した妹が、
「せん光!」
エネミーの視界を奪いました。
「あとは、薙刀で倒していって。」
「残りは私が相手するから。」
「危ないときには、すぐに助けをよぶんだよ?」
「りょーかい!!」
気合が入った様子の琴音を横目に、私は走り出します。
争っていた面子が勘づき、ターゲットを私に変えました。
先陣きって飛行してくる一体の仏めがけて、
「取り敢えず……、デストロイ!!」
[ラージソード]を突き出し、額に〝ズンッ!〟と刺したら、この一撃で消滅できたのです。
(おおー!!)
(やっぱり、“恩恵”と“デストロイ”は相乗効果があるみたいね。)
そう思いつつ、近くまできたエンジェルボーイに、大剣を右から左へと払います。
ブシャアッ!!
胸元を斬ったものの、こちらは倒せませんでした。
ま、“LV.1”なので、本来は、そんなものなのでしょう。
「えいッ!」
「やあッ!」
などといった妹の声を背中で聞いている私は、眼前の敵に集中していったのです―。




