62.観光地にて②
6匹ずつの、芋虫・ダンゴ虫・蛾による、計18匹が、私めがけて〝まっしぐら〟です。
およそ1.5Mの虫たちに、
「ひぃいいいッ!!」
悲鳴をあげながらも、
「せ、せせ、せ、閃光!」
どうにか視力を奪った私は、
「お、お、恩恵!」
ステータスを強化しました。
まずは、“毒”が厄介な蛾から刺したり斬ったりしていきます。
あれ以来の、へっぴり腰になりながら。
蛾の群れを消滅させて、
「すぅ――ッ。」
「はぁ――ッ。」
深呼吸で自分を落ち着かせるも、動悸が止まりません。
もはや気合しかないと悟った私は、
「ぶぅおらっぎゃああ―ッ!!!!」
と、おかしなテンションになりながら、他の虫も葬っていったのです…。
(早いとこ、ここを離れよう。)
脱力しつつ、境内の外を目指したところ、植物系が佇んでいました。
高さ5Mのチューリップ型が赤・白・黄色の2本ずつ、スーパーマ○オの“土管の花”みたいな身長1.2Mのエネミーが4本といった、メンバーです。
植物タイプには【閃光】が効かないので、【恩恵】のみを発動しました。
すると、眩暈が起きたのです。
これは、おそらく、“魔力切れ”の前兆に違いありません。
大飯店での“アマチュア相撲レスラー”との戦闘が終了したあと、回復するのを忘れておりました。
慌てて出現させた[魔力回復ポーション]を、左手で掴んだ私に、正面に居る小型のフラワーが、口から直径10㎝の“火の玉”を放ちます。
左へのサイドステップで躱したところ、そこにいた別のフラワーまでもが同じように“火の玉”を吐いたのです。
「とぉうッ!」
ジャンプした私の左側面を、白色のチューリップが葉で、
バチィンッ!!
と叩いてきました。
ま、“LV.8”になっている今の私には、ダメージが殆どありませんでしたが。
それでも、いささかグラつき、着地に失敗してしまい、
「ふにゃッ!?」
横倒れになってしまったのです。
右側面を地に打ち付け、
「いたたたぁ。」
やや眉間にシワを寄せながら上体を起こした私の顔に、右端のフラワーが“火の玉”を飛ばしてきました。
ボォウッ!
と、直撃するも、火傷せずに済んだ模様です。
多少は熱かったですけど…。
明らかに強くなっているのを実感しつつ、[魔力回復ポーション]を摂取した私は、捕食しようとしてきた赤色チューリップの顎(?)を、薙刀で突いて、粒子に変えました。
その後は、立ち上がって、植物系モンスターらを屠っていったのです。
この際に、途中で【恩恵】の効力を失っていたようですが、余裕で倒せました。
なので、魔力の事を考慮し、【恩恵】は温存しながら使っていくことにしたのです。
〝手こずりそうな敵にのみ用いる〟といったイメージであります。
敷地を抜けてみたら、道路で、天使×10/仏×8/ミニデーモン×6/ドーベルマン×4/鎌鼬×3が、堂々と殺し合っていました。
傍迷惑な連中には、まったくもって〝やれやれ〟です。
テンプレ的にも。
エネミー達の3割ほどが、こちらに気付き、近寄ってきます。
直ちに【閃光】を発して、武器を振るう私でした―。




