50.横浜でのバトル②
左手から繰り出されるダガーを、私は薙刀の柄で、上へ〝ガキィンッ!〟と払いました。
「おッ?」
バーバースタイルが、防がれたことに少なからず驚きながらも、短剣を下へと振るってきます。
これを右に躱した私は、相手の左脛を、柄の先で〝ガツンッ!!〟と叩いたのです。
「いっ、つぅ~ッ!」
バーバースタイルが右膝を道路に着いて、うずくまりました。
その左肩に、柄を打ち付けようとしたタイミングで、【閃光】の効果が失われたようです。
ちなみに、以前、計ってみたところ、閃光のタイムは10秒でした。
それはさて置き。
チンピラたちの視力が戻り、バーバースタイルが2~3度バックステップしていきます。
まだ脛は痛そうですが…。
バーバースタイルが離れたのを確認し、
「ホール!」
と、マッシュ―ブロックが唱えたことによって、私の足元に直径1.5Mの“穴”が出来たではありませんか。
「ひゃッ?!」
直下した私の尾骶骨が〝ドンッ!〟と底に衝突しました。
「いたたたたぁ…。」
薙刀を杖代わりにして立ちながら、見上げてみたところ、3Mぐらいの深さであることが分かったのです。
この穴を、チンピラ一同が囲んでいきます。
「どうする?」
訊ねた赤髪ソフトモヒカンに、小太りが、
「取り敢えず、“しょ○べん”でも浴びせ掛けっか?」
と提案し、
「お、いいねぇ~。」
金髪襟足が同意しました。
(冗談じゃない!)
私は、急いで出現させた[転移の宝玉]を掴んで、玄武門の近くへとテレポーテーションしたのです。
「あんッ?!」
「どこ行きやがった!?」
首を傾げる“金髪オールバック”めがけてダッシュした私が、その背中に、右足での飛び蹴りを〝ドンッ!〟と、くらわせた事によって、
「ぬおッ?! あ――――ッ!!」
と、穴に落ちていきました。
彼の右隣に居た“刈り上げ黒髪リーゼント”が、
「テメぇッ!」
睨みながら近づいて来ようとします。
それよりも速く、薙刀の柄で左頬を殴ったところ、メガネが宙に舞うなかで、
「うおッあ――――ッ!!」
この人も、落下していったのです。
オールバックの右に位置取りしていた金髪襟足が、
「お、おい!」
と焦り、
「大丈夫だよ、僕の能力は、どれも13秒で終了するから。」
反対側のマッシュ―ブロックが落ち着かせます。
穴を挟んで私の正面にいるバーバースタイルが、
「おま…、バカ!」
と、注意したら、
「あ! いっけねぇー。」
マッシュ―ブロックが自分の右手で口を押えました。
「ほぉう、ほぉう。」
「成る程。」
「“13秒”なんですね。」
「わざわざ手の内を明かして戴いて、ありがとうございます。」
私が、お礼を述べていたところ、穴が開いていた地面が〝スゥ――ッ〟とせり上がってきて、もともとの状態に戻ったのです。
その際に、オールバック&リーゼントも地上に出てきました。
「こいつ、舐めやがって!」
「ったくよぉ!」
二人がフラつきながら立ち上がろうとします。
小太りが、
「もう容赦しねぇぞ! こるぅあッ!!」
巻き舌で凄んできて、全員が私を見たので、
「それでは改めまして…。」
「閃光!」
と発しました。
しかしながら、ほぼ同時に、
「フィクス!」
マッシュ―ブロックが言い放った事により、地面が〝ボコボコッ!〟と隆起して、私の膝下がアスファルトで固定されてしまったのです。
両足とも―。




