25.害虫駆除
神澤真守さんが、既に芋虫とダンゴ虫を一匹ずつ消滅させているなか、私は毎度のパターンで【閃光】と【恩恵】を発動しました。
神澤紗凪さんが自身の眼前にいるダンゴ虫を、ヌンチャクで〝バシバシ〟叩いております。
「ふぅおらりゃあッ!!」
と、おかしなテンションになりながら。
深呼吸した神岳穂乃歌さんは、宙に浮いている蛾の一匹に【聖なる水】を発射しました。
腹部を〝バシュッ!〟と貫通されたエネミーが、
「ピギィーッ!!」
と鳴いた事によって、右隣(私たちからは左)にいた別の蛾が羽を前後に動かし、紫色の粉を大量に放出したのです。
それを吸ってしまった私達は、急に苦しくなって、地面に膝を着き、「ゲホ! ゴホッ!」と咳き込みました。
なんだか体力が奪われていく感じがします。
「これは…、毒か?!」
「穂乃歌!」
声を掛けた神岳穂積さんの意図を察した彼女が、
「ディスオーダー・リカバリー!!」
と、唱えたのです。
お陰さまで、私たちは解毒されました。
このタイミングで閃光の効果が失われてしまい、昆虫らが距離を詰めてきます。
私は、勿論、補助魔法を再び用いて、連中の動きを止めました。
「ふぅ――ッ。」
息を吐いた穂積さんが、
「蛾を片付けるのは後にしよう。」
と告げて、身を低くしている芋虫の額にダガーを突き立てます。
これに続いて他のメンバーも魔法や武器で攻撃していったのです。
私も、半ば恐る恐る薙刀でダンゴ虫を刺しました。
できるだけ近くに寄りたくないので、完全に腰が引けております。
まぁ、それでも、穂積さんを中心として、地上の虫チームを倒していったのです。
「残るは、アイツらだけだね。」
真守さんが、私たちの頭上2Mほどを飛び回っている蛾を見ながら、迷惑そうな表情になりました。
「どうするの?」
目を血走らせている紗凪さんの質問に、
「毒を出させなくすれば勝てるだろう。」
と、穂積さんが返します。
「じゃあ、俺と穂乃歌ちゃんで羽を撃っていこうか。」
そう提案した真守さんに、
「落ちてきたところを仕留めればいいのね?」
紗凪さんが確認しました。
意味を理解した私は改めて【閃光】を利用したのです。
一匹だけ範囲外だったので通用しませんでしたが、真守さんと穂乃歌さんが、三匹の羽を、【ファイア・ボール】で燃やしたり、【ホーリー・ウォーター】で貫いていきます。
私は難を逃れていた敵の方に振り向いて、目を眩まそうとしたのですが、危険を察知したのか、毒を放たれてしまったのです。
またしても皆の膝が折れかけたところ、穂乃歌さんがステータス異常を治してくれました。
私が勢いよく伸ばした武器の先端が羽にヒットして、相手がバランスを崩しながら落下してきます。
その頭部を、すかさず、ヌンチャクで打ち付ける紗凪さんでした―。




