24.生理的にNGです。
長女(叔母)さん宅に【結界】を施し、そこから南西へと向かいました。
次男(叔父)さん宅にも結界を張り終えて、全員で私の家を目指したのです。
その道中にも、雑談を交わしたり、敵を屠っていきました。
結果、私のレベルが4になったのです。
他の方々は、お揃いでLV.5になっておられます。
それ以外にも、幾つかの建物に結界を発動しました。
体力や魔力を専用の“ポーション”で回復するのも怠っていません。
ま、ここら辺に関しての詳細は割愛しておきましょう。
別段、盛り上がる事もなければ、面白味もありませんので。
私ども…、特に女性陣が、身の毛もよだつ体験をしたのは、お家に帰り着いてからでした。
門で、皆さんに、お礼を述べようとしたその時です。
お庭の方から、
「きゃああああッ! 来ないでぇえッ!!」
「いやぁああッ! 気持ち悪いぃーッ!!」
などの絶叫が聞こえてきたのは。
顔を見合わせた私達は、次の瞬間、そちらへ急いで駆け出しました。
お庭に回り込んでみたところ、1.5Mほどの昆虫たちが、結界に体当たりしているではありませんか!
その面子は、蛾・芋虫・ダンゴ虫が4匹ずつの計12匹です。
「ひぃいッ!」
悲鳴を上げたのは神澤紗凪さんでした。
「ぴぎゃぁあああッ!!」
精神が崩壊しかけているのは神岳穂乃歌さんです。
こちらに気付いてしまった虫たちが、方向転換します。
ターゲットを私らに変更したのは明らかです。
「あわわわわ。」
私は危うく口から泡を吹きそうになっております。
その場で固まってしまった三人に、神岳穂積さんが、
「しっかりしろッ!!」
と、渇を入れました。
これによって少しだけ正気を取り戻した私は、
「せ、せせせせ、せせ、せ、閃光!」
と唱えたのです。
完全に膝が笑っている私に、
「ナイス!」
と、声を掛けた神澤真守さんが、順次、火/氷/雷といった直径15㎝の“魔法の玉”をエネミーに放っていきます。
穂乃歌さんは、長さ15㎝×幅5㎝の“弾丸みたいな水”である【ホーリー・ウォーター】を乱射するも、未だパニックに陥っているらしく、悉く外しておりました。
挙句の果てには、暴走を止めるべく「おい!」と右肩を掴んできた穂積さんの左頬を、「ふにゃぁあ――ッ!!」とロッドで殴ったのです。
それが逆に効果をもたらしたのか、
「はッ! お兄ちゃん!」
と冷静になりました。
「なんでもいいから、みんな、戦闘に参加してくれよ!」
真守さんの切なる願いに、
「すす、素手で、さ、触りたくない。」
紗凪さんが顔面蒼白で答えます。
「だったら“ヌンチャク”を使いなよ! デタラメに振り回すだけでも良いからさ!」
「それと、君は、新たに魔法を用いてサポートしてくれないか?」
そう促す真守さんに、無言で〝コク、コク、コク、コク〟と頷きまくる二人組でした―。




