192.リトライ、厳島!
AM10:15頃に、廿日市駅に到着しました。
マイクロバスの扉を開けて、顔を出し、
「こっちだ!!」
手招きしたアケミさんによって、黒髪サラサラショート&インテリメガネの“リョウさん”が乗車してきます。
そこからは、ループ前と同じ展開になったのでした……。
[宮島口旅客フェリーターミナル]にて。
[一般職]の皆さんと別れて、[戦闘職]と[ユニーク職]とが船内に足を運びます。
AM10:45に、役所から赴いた方々が、大きめの地図を壁に貼って、“厳島神社奪還戦”についての説明を始めたのです。
琴音と月媛ちゃんは、またもや“あやとり”を楽しんでいました。
行政の男性が喋り終えたところで、
「すみません、ちょっといいですか?」
“青髪ロングのカズヒコさん”が右手を軽く挙げます。
「はい。」
「なんでしょう??」
役所の人に尋ねられ、
「〝神社内には、全員で、入口から進んでいく〟との事でしたが、敵が半魚人であるのならば、水中を泳げるでしょうから、挟み撃ちにされてしまう危険性があるのでは?」
「それだと対応しきれず、人間側が壊滅しかねないので、特別に“出口側”からも突入させてもらえませんか??」
カズヒコさんが答えました。
余談かもしれませんが、この提案は、予め我々で決めておいたものです。
「なるほど。」
「〝こちらが二手に分かれることによって、エネミーを散らす〟という訳ですね。」
〝ふむ〟と頷いた男性が、
「神社の関係者に問い合わせてみますので、暫くお待ちください。」
そう述べつつ、背広のポケットから取り出したスマホで、電話を掛けました。
この最中に、AM10:50となったので、宮島に向けてフェリーが出航したのです…。
2~3分後に、
「お待たせしました。」
「先方が理解を示してくださり、今回に限って許可が下りました。」
そのように伝えてきた行政さんが、
「それで、ですね……、現在、船の中心から右側に居る方々に“入口”を、左側の皆さんには“出口”を、担当してもらう、といった算段で、問題ないでしょうか?」
[討伐チーム]を窺います。
「ああ、構わない!」
「必ずや作戦を成功させよう!!」
元気いっぱいで告げたアケミさんに、多くの人が同調したようで、反対意見はありませんでした。
AM11:12ごろ。
[厳島神社]の“不明門”の近くで待機していた50名に、役所の男性が状況を教え、半々になってもらったのです。
なお、行政の二人も、別れて行動します。
かくして、小雨が降るなか、我ら[東京組]を含めた約100人が、“出口”へと回っていきました…。
「そろそろ時間となりますので、準備の程を、お願いします。」
役所の担当者さんに言われて、各自、装備を変更していったのです。
AM11:30に、
「では、進みましょう。」
行政さんが合図しました。
先頭は、[アケミさんパーティー]並びに[モガミーズ]が受け持っています。
〝ボクらは名古屋と大阪でボスキャラを倒した経験があるから、任せてほしい!〟との勇者さんの主張が通った事によって。
ちなみに、これもまた、私たちの予定どおりであります。
【侍】のジュンヤさんによる〝それが最も犠牲が少なくて済むだろう〟といった考えを尊重した結果でした―。