188.新たなる・・・・。
現在地は“岡山県瀬戸内市牛窓”に在る古民家をリノベした某飲食店です。
どうやら、食事を済ませたあとのようでした。
慣れたもので、瞬時に状況を理解した私は、
「すみません。」
「ループしたみたいです。」
そのように発言しました。
「え?!」
「また??」
ハルカさんを筆頭に、[勇者さんパーティー]が驚いています。
「ええ。」
「なので…、一回、地元に帰らせてください。」
こう告げた私は、スマホで時間を見て、
「順調にいけば、笠岡市のカフェで合流できると思います。」
「住宅街に建っている一軒家風のお店でして――。」
外観や内観などを説明していきました。
ご自身の“ノートパソコン”を出現させて、検索したアケミさんに、
「これかい?」
確認された私は、画像を覗き込み、
「そうです。」
「間違いありません。」
と、肯定したのです……。
PM13:15を過ぎたあたりに、飲食代を支払い、外に出た流れで、
「それでは。」
軽く挨拶して、[転移の宝玉]でテレポートする“モガミーズ”でした。
居間へと足を運んだところ、
「お!」
「おかえりぃ~。」
作業の手を止めた葵月ちゃんが、笑顔で迎えてくれたのです。
「タイムループしたという訳か?」
そう訊ねてきたのは、私の父親であります。
「うん。」
頷いた私は、
「誰かが“剣士”を受け継いだ筈だから、親戚中に連絡したいんだけど。」
この場にいる人々に協力を仰いだのでした…。
およそ三分後に、やって来たるは、“長女さんファミリー”です。
我が父と共同で仕事している暁斗くんの家族であります。
畳に座った旦那(叔父)さんが、
「陽斗に渡っているらしい。」
そう伝えてきました。
「マジで!?」
真っ先にくいついたのは、知らないうちに[広間]に来ていた利勇です。
「ああ、マジで!!」
陽斗くんが勢いよく首を縦に振ったら、
「ぬおぉぉぉ~ッ!」
「次こそは俺に回ってくるだろうと期待していたのに、陽斗とは……。」
「不公平だぞ!!」
「姉ちゃん!」
悔しがった我が弟が、こっちに抗議してきました。
「いや、私に言われても、選んでいるのはブレスレットだから。」
こう返すしかない私であります。
それらを余所に、
「で??」
「陽斗が旅するのは、許可してあげるわけ?」
兄にあたる“暁斗くん”が、自分達の両親に尋ねたのです。
「ま、陽斗は、中学生で、男でもあるし…。」
「小学生の女の子二人が頑張っているんだから、変に反対するのもなぁ。」
そう答えた叔父さんに、
「それに、琴晴ちゃんとカズくんが一緒なんだし、きっと大丈夫でしょ。」
叔母(長女)さんが続きました。
〝ふむ〟と理解を示した暁斗くんが、
「じゃあ……、今度は、どのジョブにするんだ??」
「早いとこ装備品を作ったがいいんだろ?」
私に質問してきます。
「あー、うん。」
「実は、もう既に決めてあるんだよねぇ。」
「〝何かと便利そうだなぁ〟と思った職種があって…。」
このように述べつつ、薄型パネルの[画面]を出現させた私は、
「ポチッとな☆」
右の人差し指で【機工士】をタッチしたのでした―。