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JK LOOPER  作者: ネコのうた
3rd STAGE/海を越えねばならぬのです。
181/317

181.兵庫にて・ぜんぺん

[大阪城公園駅前駐車場]に移動した我々は、マイクロバスへと乗り込んだのです。


それぞれが左側の窓を開けたところ、


「今度は、ゆっくり遊びにおいでや。」

「皆で、美味いメシでも食いに行こう。」

「ボスを倒してくれた礼に奢ったるわ。」


金髪リーゼントさんと、


「うむ。」

「その時は、よろしく頼むとしよう。」


アケミさんとが、挨拶を交わしました。


発車するなか、〝またなぁ〟〝バイバーイ〟といった感じで、暴走族の方々と私達が手を振ります。


マイクロバスが公道に出たあたりで、


「何処に向かってるの?」


【機工士】たるユウジさんに尋ねられ、


「これといって決めちゃいないが…、とりあえず、兵庫県だな。」


運転中のサトシさんが答えました。


「ん、分かった。」

「じゃあ、宿泊できそうな所を検索してみるよ。」


そう伝えたユウジさんが、ご自身のスマホで検索していきます。


時刻はPM15:10になろうとしている頃です……。



およそ50分が経過し、やって来たるは、[阪神甲子園球場]です。


甲子園は、てっきり大阪に在るものだとばかり思っていましたが、実際は“兵庫県西宮市”でした。


いやぁー、勉強になります☆


とにもかくにも、PM16:00となったので、降車して、エネミーたちと戦っていったのです。


なお、私は、【刺突(しとつ)】というスキルを覚えています。


名称が示すように、“突き”に特化した技であり、私が京都で見たものでした。


なんでも、〝ヒットした相手に通常攻撃よりも高いダメージを与える〟のだそうです。


ちなみに、“ボス仏”とのバトルによって、[勇者さんパーティー]の戦闘職とユニーク職は、全員がLV.20を超えており、なかには新たな能力を収得した方々もおりました。


ま、これに関する話しは、いつかまた、機会があったときにしましょう。



ひと段落したあたりで、マイクロバスの右側の窓から、黒髪ロングの【錬金術師】であるマリナさんが、


「球場に入っていく人が結構いたけど、試合やってるのかな??」


そのような疑問を投げかけました。


「まさか。」

「流石に無理だろう。」


こう返したのは【侍】たるジュンヤさんです。


「誰かに聞いてみる?」


そう提案したハルカさんが、


「すみませーん。」

「甲子園って、何かやっているんですか??」


近くに居た人達に、自ら訊ねます。


「ん?」

「なんや??」

「地元ちゃうんかい?」


50代前半くらいの男性が反応し、


「甲子園球場は、ドームと(ちご)ぉうて、“結界”が張れんのよ。」

「客席の一部にしか屋根があれへんから。」


このように教えてくれました。


「あー、つまり、〝球場内にも人外が現れる〟ということですか??」


丸メガネの【裁縫師】であるミオさんが、車窓から質問したところ、


「そやねん。」

「だから、こうして、外側と内側を日替わりで担当しとるっちゅう訳や。」


先程の男性が説明してくださったのです。


〝そういう事もあるのか〟と納得した我々は、この人たちとお別れして、ジュンヤさんが導きだしていた場所を目指しました…。



約40分で到着できる距離が、エネミーを倒しながらだったので1時間は掛かった模様です。


結果、PM17:10を過ぎております。


マイクロバスは、某ホテルの駐車場に停まりました。


「チェックインしたら、少し早いけど、ご飯にしよう。」


ユウジさんに促されて、私達はロビーへと赴いたのです。



その後に訪れたのは、居酒屋でした。


黒毛和牛のステーキに串焼きなどをシェアしつつ、各自、お酒やソフトドリンクを口に運びます。


90分ほどが経ち、表に出たところ、すっかり日が暮れていました。


「せっかくだから、少し歩かない?」


【調理士】たるユミさんの提案に、


「そうだな。」

「あまり飲んではいないが、風呂に入る前に酔いを覚ましておきたいし。」


【武闘家】のサトシさんが賛成したのです。


これによって、我々は、[有馬温泉街]を散歩することになりました。



地域は全体的に風情(ふぜい)があるものの、建物の灯りは殆ど点いておりません。


「六割ぐらいは閉まっているみたいだね。」


壱紀(かずき)くんが呟き、


「人外の影響だろうな。」

「平和を取り戻せる日が来ればいいんだが……。」

「いや、そうなるように、ボクらも力を尽くそう!」


アケミさんが意志を告げます。


どこか寂しい街並みのなかで、私は、熱い気持ちが湧き上がってきました。


親族以外とはあまり接しようとせず、ほぼ“ボッチ”だった自分にはもともと無かった〝世のため人のため〟といった感情です。


そのような心境を、悪くない変化だなと、くすぐったくもポジティブに捉える事が出来た私でした―。


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