18.臨時加入
増援の警察官や救急隊員に数人の“戦闘職”がいらっしゃるとのことだったので、この場を離れても大丈夫だろうと判断した私達は、ご遺体に手を合わせて、先に進むことにしました。
改めて、お巡りさんらに、お礼をされた後に、テクテクと北へ向かいながら、神岳穂積さんの“探知”によって、幾つかの家屋に【結界】を張っていきます。
その道中、神岳穂乃歌さんに、
「そうだ!」
「琴晴ちゃんも、私たちのパーティーに入っとく?」
と、聞かれたのです。
正直、初対面の方々と行動を共にしているだけでも奇跡に近い私にとっては、同じグループに属するという事に少なからず抵抗があります。
いえ、普段の生活においてボッチな訳ではありませんよ、決して。
一人が好きなだけです。
〝孤独を愛す〟みたいな?
ごめんなさい、カッコつけました。
コミュ力が低いだけです。
はい、認めます。
これを機に改善していくのが良いかもしれませんね。
いろいろな人達と支え合わなければいけなくなってくるでしょうから。
いずれにせよ、あまりメリットを感じられず〝むむぅ〟と悩む私に、神澤真守さんが、
「一緒のチームになっておけば、もし、俺らの魔法や武器などでの攻撃が誤って当たったとしても、ダメージを負わなくなるよ。」
と告げました。
更には、
「それ以外にもねぇ~、仲間内であれば、回復魔法や補助魔法が効くようになるから、何かと便利だよぉ。」
と、穂乃歌さんが教えてくれたのです。
私の、
「ん?」
「もしかして…、婦警さんに“体力回復ポーション”を飲ませていたのは、そういう理由ですか?」
との疑問に、
「そうだよぉ、私はクレリックだから“ヒール”の魔法を扱えるんだけど、あの人は同じパーティーじゃないから無理だったの。」
と答えてくれました。
(ヒール?)
(“回復”ではなく??)
新たに謎が生じたので、
「補助魔法は“恩恵”ですか?」
と、尋ねてみたところ、
「ううん、“異常回復”だよ。」
「何だっけ?毒とか麻痺とかを治す、みたいな?」
「ま、今のところ出番がないから、イマイチよく分かってないんだけど。」
との事でした。
「なるほど、です。」
頷きながらも迷っている私に、神澤紗凪さんが、
「無理強いはしないけど…、こういうのはどうかな?」
「琴晴ちゃんを自宅に送り届けるまでの間だけ、私達のパーティーに所属しといてもらって、最終的に解放するというのは。」
と提案してくれたのです。
その意見を、
「君の安全の為にも、了承してもらえると有り難いんだが。」
と、穂積さんが押します。
「そうですね…、では、よろしくお願いします。」
結局は受け入れることにして、皆さんに頭を下げる私でした―。