174.月媛ちゃんの旅立ち
時刻はAM10:30あたりです。
剣士用の防具が完成しました♪
詳しくは、黒の長袖シャツ・パンツ・革靴に、薄鉄でサークレット風の兜・肩当て・胸当て・肘当て・籠手・腰回り・膝当て・足の甲と一体化している脛当て、となっています。
「皆、ありがとう!」
私がお礼したところで、葵月ちゃんが電話しました。
「もしもし?」
「琴晴ちゃん達もうすぐ出発するよ。」
「そろそろ、こっちに来て。」
おそらく相手は、自分の母親でしょう。
そこから待つこと5~6分。
次女さん家族が再び訪問してきたのです。
玄関先にて。
「お兄ちゃんの言う事よく聞くんだぞ。」
叔父さんが月媛ちゃんに声をかけ、
「琴晴ちゃん、よろしくね。」
叔母さんが私にお願いしてきました。
「はい。」
首を縦に振った私は、利勇の様子に気づき、
「今回は、ふてくされてないね。」
「なんか悟りでも開いた??」
こう訊ねてみたのです。
「いや…、姉ちゃんが魔女を選んだとき、ヒカリが興味を示してたから、〝フラグが立った〟と思ったんだよ。」
「〝魔法職はヒカリが受け継ぐだろう〟って。」
「だから、まぁ、不服はない。」
「けど……、次は俺であってほしいと願ってる!!」
そのように述べた我が弟に、
「それは、〝利勇以外の人に剣士が譲渡される〟っていうフラグになるんじゃないか?」
暁斗くんがツッコミます。
「アキト兄ちゃ~ん、やめてくれよぉ。」
「マジで、そうなりかねぇからさぁ。」
軽くヘコんだ利勇に、誰もが〝ドッ!〟と笑いました。
「じゃあねぇー。」
「いってらっしゃぁーい。」
「いってきまーす。」
といった具合に〝バイバイ〟した私たちは、【転移の宝玉】で“京都の珈琲屋さん”へと[テレポーテーション]したのです…。
20Mほど先から歩いて来ていた勇者さんが、
「お、丁度だったみたいだな。」
笑みを浮かべました。
「あら??」
「女の子が、一人、増えてるわね。」
こう指摘したのは、白銀ウィッグのハルカさんです。
「こんちにわ~。」
「お名前はぁ?」
ギャルのミサさんが尋ねたら、
「……、ヒカリ。」
月媛ちゃんが恥ずかしそうにモジモジしました。
彼女は割と人見知りです。
それはもう、私に通じるぐらい。
ですが、仲良しの琴音が一緒なので、きっとすぐにでも順応することでしょう。
なお、月媛ちゃんのコーディネートは、長袖でグレーのフリルワンピースであり、大きな襟は白色です。
更に、黒色のショートソックスと、ホワイトを基調とした革靴を、履いています。
とにもかくにも。
「立ち話しもなんですから、取り敢えず、お店に入りましょう。」
青髪ウィッグのカズヒコさんに促されて、店内へと足を運ぶ我々でした。
注文した品々がテーブルに届くなか、琴音&月媛ちゃんが〝うひょお――!!〟といった感じで瞳を輝かせております。
タイムループした記憶が無い皆さんは、前回と同じ物を頼んでいました。
ちなみに、お初である月媛ちゃんは“いちごプリンパフェ”で、二度目の私は“アーモンドショコラパフェ”です。
「それで??」
「何が原因で、君はループしたの?」
ウルフカットたるユウジさんの質問に、大阪城での出来事までを語っていく私でした―。